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蒼鷺の背景 投稿者:とうか 投稿日:2013/09/13(Fri) 20:44 No.286
はじめまして。
今年蒼鷺を合唱させてもらうことになったんですが、
意味を調べていたら、「蝦夷榛」は”エゾハンノ木”
「凍原」は”北極の木のない原野”と出てきました。

「蝦夷榛」は木なのに木のない原野って、どういうことなんでしょう、、、。

もしよかったら、回答ください。

Re: 蒼鷺の背景 - まつ@管理人 2013/09/14(Sat) 07:54 No.287

とうかさん、はじめまして。
添付した写真は「蒼鷺」の詩が載っている更科源蔵の「凍原の歌」という詩集です。昭和18年発行で定価2円となっています。更科源蔵は北海道東部(弟子屈町)の熊牛原野に開拓民の子として生まれ、その地で前半生の多くを送っています。この詩集にはそこでの人々の暮らしや身の回りの自然が描かれています。つまり、この詩集のタイトルになっている凍原とは作者の生まれ育った熊牛原野そのものなのです。

辞書では、凍原という語はたとえば「ツンドラ」(『広辞苑』初版)のように狭義の意味だけが紹介されているかもしれません。けれども、一般的には字面そのままに「凍った原野」の意味で使われる場合が多いように思います。冬の北海道には凍原としか言い表せないような場所がたくさんあります。この詩の場合もそのような凍った原野として捉えるのが正解です。北海道東部のしばれた原野なのです。ですから、そこに木があっても不都合はないのですよ。

この詩に描かれるエゾハンノキは湿地に多く生育する樹種で北海道では普通に見られます。詩ではエゾハンノキに冬の陽が当たって凍原の上に青い影が伸びると書かれています。冬なので木は葉を全て落とし幹と枝の輪郭だけになっています。それが冬の弱い陽に照らされ凍った白い雪原に薄く長い影を落とすわけです。エゾハンノキは1本で孤立しているか、そうでなくてもわずかな本数なのでしょう。そうでなければ影の印象がこれほど鮮やかなものにはならないはずですから。

ところで、エゾハンノキの花言葉は「忍耐」あるいは「不屈の心」なのだそうです。作者が意図したわけではないと思いますが、この花言葉は詩中のアオサギの心、あるいは詩のテーマを的確に言い当てています。偶然にしてはあまりに素晴らしい偶然ですね。


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