アオサギを議論するページ

初雪

一昨日の夜、例の甲高い声に夜空を見上げると、うっすらと3羽の影が頭上を横切っていきました。もしかすると、その前方には少し大きな群れがいて、それを声で追いかけていたのかもしれません。夜とはいえ真っ暗にはならない札幌の空を南へ向かったのは、たぶん、渡りです。

彼らが春から夏にかけて過ごしたコロニーは、誰もいなくなってもう三月近くになります。秋の葉が舞い落ちる林は、それでもほとんどの巣はまだ残っていて、静けさの中にしっかりとその存在感を示しています。
そして、彼らがここで生活した痕跡は足下にも…。

アオサギのコロニーは生と死が混在する空間です。弱いヒナ、不運なヒナは一瞬で巣から転落し、生の世界から死の世界へ速やかに不可逆的に移行します。ヒナはたとえ落ちたときすぐに死ななくても生き延びる可能性はまずありません。巣から落ちたヒナを親鳥が構うことは無いからです。自力で巣に戻れないヒナに最初に注意を払うのは、キツネかアライグマか、あるいはヒグマか、いずれにしてもヒナたちに友好的なものではないでしょう。繁殖期、生が横溢する樹上の空間とは対照的に、林の底に広がるのは限りなく死に近い世界です。

無数の死と引き換えにわずかな数の命が生き延び、命の連鎖は途切れることなく、季節の移ろいとともにまた次のステージへと進んでいきます。

今朝の札幌は雨が雪に変わりました。すでに大部分のサギたちはここを去っているはずです。

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