アオサギを議論するページ

若すぎるペア

ヒナが生まれはじめ、ヒナの声も小さく聞こえるようになった札幌周辺のアオサギコロニーですが、ヒナが生まれる一方でこれから巣づくりというペアもいます。北海道あたりでは、つがいにより営巣開始時期にひと月以上のズレがあります。そして、遅い時期に巣づくりを始めたペアには成鳥の羽になり切っていないアオサギがかなり多く混じっています。

写真はそんなつがいのひとつ。一応、ちゃんとしたつがいなのですが、まだ巣がありませんし、たまたま2羽が離れているのでペアのように見えないかもしれません。そして、何よりもペアらしく見えないのは左のアオサギが成鳥ではないという点。明らかに1年目の幼鳥のようです。

通常、アオサギは生まれた翌々年から繁殖に加わり、1年目で営巣することはまずありません。なので、これはかなり稀なケースです。ただ、生殖能力は1年目から具わっているので、繁殖が不可能というわけではありません。不可能ではないのですが、やはりヒナを育てる能力ということになるとまだまだ不完全なようです。実際、1年目でうまくヒナを巣立たせた例を私はまだ見たことがありませんし、おそらく成功したという報告も皆無なのではないかと思います。たぶん、経験のない幼鳥では抱卵や給餌そのものはある程度やれても、自分の餌を獲るのが精いっぱいで、ヒナの分まで面倒をみる余裕は無いのでしょう。

さて、このつがい、どこまでがんばれるでしょうか?

遅れたものの例年並

4月ももう終わりだというのに、激しく雪の舞った昨日の札幌。ヒナが生まれはじめているこの時期に、雪や雨、さらには強風と、全く思いやりのない天気が続きますね。

ところで、北海道のアオサギの個体数が今年は少ないということを先日書きましたが、どうも飛来時期が遅かっただけのようです。春先から遅め遅めに季節が進んでいますから、サギたちもそれに合わせてゆっくりめに行動を起こしているのでしょう。少なくとも私がよく見ている江別コロニーは例年並の営巣数にほぼ回復しました。数日前に見た時でおよそ160巣。この先は増えても10巣がいいところだと思います。

すでにヒナが生まれているところもあれば、まだ1本目の巣材を置くのに四苦八苦しているところもありますが、ともかくこれで今年のメンバーはだいたい揃いました。全体的にやや遅れ気味のシーズン序盤でしたが、これからは木々の芽吹きとともにいつもどおりの賑やかさ(騒々しさ?)となりそうです。

ヒナ誕生!

生まれてましたよ。例年より1週間ばかり遅め、それでもちゃんと生まれてました。

早朝のコロニーは、辺りが霜でうっすら白くなるような冷え込みでしたが、親鳥のおなかの下は暖かいのでしょうね。アオサギが産卵してヒナが孵化するまでの日数は25〜28日。外は寒くても日数が経てばちゃんとヒナが生まれます。

今朝、江別のコロニーでヒナが確認できたのは2巣。ただし、ヒナが見えたといっても、生まれたばかりの小さな小さなヒナです。巣材と巣材の隙間に灰色の産毛が見え隠れするのがようやく見られるていど。そこにヒナがいることを確信して見ないと、それがヒナだとはまず気付かなかったでしょう。

幸いなことに、ヒナを直接見つけられなくてもヒナがいることを知る術はあります。この時期、ヒナが生まれると、親鳥の行動にそれまで見られなかったパターンが加わるのです。それはまず親鳥が巣の中に首を突っ込むことから始まります。じつはこれ、ヒナに餌を吐き戻しているところなのですが、親鳥は巣の修繕をするときにも同じように屈むため、注意深く見ていないと給餌だということを見逃してしまいます。ただ、巣の修繕の時と違うのはじっとその姿勢で動かないこと。同じ姿勢で動かなければ給餌ということになります。親鳥はその姿勢をしばらく続けた後、首を上げてくちばしを小さく開いたり閉じたりしながら何かを咀嚼するようにもぐもぐやります。そして、もう一度首を巣に突っ込み、拾い上げた餌をふたたび飲み込みます。これが小さなヒナがいる親鳥の一連の給餌行動です。この行動が見られれば、その巣にはヒナがいると思って間違いありません。

国内でも暖かい地方ではヒナもすでに大きくなっているようですが、ここ北海道はこれからです。これからちょうど連休にかけて、多くのコロニーがヒナの誕生ラッシュになるのではないでしょうか。生まれたばかりのヒナたちがびっくりしないよう、そっと見守ってあげたいものです。

「アオサギ観察会」のご案内

ローカルな話題で恐縮ですが、今週水曜日、札幌市と江別市において、「平岡どんぐりの森」と「北海道アオサギ研究会」の共催でアオサギ観察会が行われます。平日の日中ということで参加できる方は限られると思いますが、お近くで時間のある方、いかがでしょうか? 下に北海道アオサギ研究会のHPにある案内を貼っておきます。

「アオサギ観察会」のご案内

北海道アオサギ研究会では、4月28日(水)、平岡と江別の両コロニーで「アオサギ観察会」を開催することになりました。ちょうどヒナが生まれはじめた頃の観察となります。お近くにお住まいの方は是非ご参加ください。
時間と場所は次のとおりです。
9:30~10:30      平岡コロニー(札幌市清田区平岡)   集合場所:平岡高校玄関前
11:15~12:00    江別コロニー(江別市工栄町)         集合場所:江別市リサイクルセンター倉庫前
参加はどちらか片方のみでも構いません。雨の場合は中止です。
平岡のほうは参加人数にとくに制限を設けませんので、平岡のみをご希望の方はご自由に参加していただければと思います。江別のほうはアオサギの営巣に配慮し先着10名様のみとしますので、江別に参加ご希望の方は松長までメールか電話(090-6445-2220)でご連絡ください。
なお、今回の観察会は「平岡どんぐりの森」との共催 で行います。「平岡どんぐりの森」は、2000年以降、毎年、平岡コロニーで観察会を行うなど、その活動は平岡のアオサギ営巣地の保全に大きく貢献しています。
[注意]平岡コロニーの観察は約400メートル離れた平岡高校屋上から行いますので、間近にアオサギが見られることを期待すると失望するかもしれません。 平岡へ参加される方はその点をあらかじめご了承ください。

この観察会は「平岡どんぐりの森」が平岡のコロニーを対象に2000年以来ずっと続けて行ってきたもので、江別コロニーも併せてというのは今回が初めてとなります。そもそもこのふたつのコロニーは、どちらも1997年に放棄された野幌コロニーを母体としたいわば兄弟コロニーです。野幌コロニーの在りし日の姿をご存知の方なら、その子供たちがいまどんなふうに成長しているのかを知る機会にもなると思います。また、平岡コロニーは今回の観察場所(高校の屋上)以外からはなかなか見られません。案内にも書かれているようにコロニーまで遠すぎるのが悔やまれますが、平岡周辺の方でアオサギがどこから来るのか気になっている方は是非参加してみて下さい。

さて、観察会で何が見られるのかが気になるところですが、大多数のアオサギはいま抱卵の最中で、巣にうずくまったままほとんど動きが無いと思います。ただ、江別のコロニーではひと月前にすでに巣に座っているところが20巣前後ありましたので、孵化まで4週間弱ということを考えれば、もうヒナがいるところがあってもおかしくありません。なお、ヒナの様子をじっくり見たいという方は、またその時期になれば第2回目の観察会が催されるはずです。そちらもお楽しみに。

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