アオサギを議論するページ

寅年の謹賀新年

明けましておめでとうございます。

今年は寅年ということでトラフサギの仲間5種に登場してもらいました。こんなきっかけでもないとなかなか紹介する機会がありませんから。そのくらいマイナーなサギたちです。和名のトラフはもちろん虎斑のこと、英名のほうはもっとストレートにTiger Heronです。写真に載せた右の3種は虎斑とはいえきめ細かな模様なので分かりにくいですが、左の2種は虎模様がはっきりしてますね。ただ、一番虎っぽい左端のトラフサギは、最近ではTiger HeronではなくForest Bitternの呼び名のほうが一般的になっています。ちょっと残念。いずれにしても、どのトラフサギもサギ科とはいえアオサギとはずいぶん見かけが違います。大きさはいずれも70センチほどで体重は約1キロといいますから、アオサギよりは二回りくらい小さい感じですね。もっと似ているサギで言うと、サンカノゴイより少し小さめといったところでしょうか。

ところで、このサギたちはいずれも日本には住んでいません。基本的にひとところに定住するタイプの鳥たちなので、渡り途中に迷って日本に来てしまったなどということもありません。だから馴染みがないのも当然なのです。ではどこに住んでいるのかといえば、ニューギニアやアフリカや中南米の熱帯雨林の水辺が多いようです。そもそも生息数が少ない上に、アオサギのようにコロニーをつくったりせず、ひとつがいひとつがいが別々に営巣するので、滅多に人目に触れることもありません。なので、サギ類を種ごとに解説した本を見ると、だいたいどの項目も、「情報がありません」とか「まったく知られていません」などの言葉が並んでいて、観察例があったとしても一度きりの報告だったり、まあひどいものです。たとえば、ある本では、アオサギ1種だけで12ページの紙面を割いているところ、トラフサギは5種合わせても14ページしかありませんでした。まだまだ未知の生き物なのですね。

世界では熱帯林の破壊がますます深刻化していますけど、トラフサギはどこに何羽ぐらいいるかのかといった基本的なこともよく分からないので、保全策を立てることすらままならないのが実情のようです。そんなわけで、今年が寅年であるのを良い機会に、少しでも多くの人にトラフサギの存在を知ってもらいたいなと。願わくば、これを見た若い人たちの中からトラフサギの研究者が現れると嬉しいですね。謎だらけのサギたちなので、ジャングルに分け入って調査すれば何をやっても新発見になるはずですから。

本年が皆さんにとって、アオサギにとって、そしてトラフサギたちにとって良い年でありますように。

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