諏訪市が、鳥獣保護法に基づく許可を得ずに5月下旬、市文化センター(湖岸通り5)一帯で、サギが営巣中のヒマラヤスギの伐採や枝落としをしていたことが4日、分かった。県は、巣に卵や幼鳥がいて伐採で傷つく可能性がある場合、許可申請が必要としている。伐採でサギの幼鳥が巣から落ちた可能性が高く、県は「申請があれば、巣立ちまで伐採しないよう市に求めていた」としている。
市教委生涯学習課によると、5月25日から31日にかけ、同センターや市図書館、市公民館などがある約2.8ヘクタールの敷地内で、高さ25−20メートルのヒマラヤスギ34本のうち12本を伐採、13本の枝を落とした。
枝が電線に触れる危険な状態だったほか、昨年7月の豪雨災害の際に図書館の雨どいが落葉で詰まり、あふれた雨水が屋根裏に浸入、閲覧室などで雨漏りがした。このため、市は本年度当初予算に伐採などの費用200万円を計上した。
県環境保全研究所(長野市)の堀田昌伸研究員がサギ類の調査の一環で5月3日に観察した際には、同センター入り口付近などでアオサギの巣11個とゴイサギの巣5個を確認。同研究員は「5月下旬の時点では巣に幼鳥がいたとみられる」と話している。市教委も伐採前に市公民館脇の木の下で幼鳥が落ちて死んでいたり、同センター入り口付近の木の巣に幼鳥がいるのを把握していた。
鳥獣保護法は鳥獣や鳥の卵の捕獲や採取をしたり、損傷させる場合は都道府県知事などの許可が必要と定めている。小沢秀昭・市教委生涯学習課長は「(県への許可申請が)必要とは知らなかった」とし、「サギの駆除が目的ではなく、施設管理上、伐採などの必要があった」としている。
県森林整備課は「目的が伐採そのものにあったとしても許可は必要」と説明。「巣に卵や幼鳥がいる時は、不用意に木を切らないように広く呼びかけていく」としている。