読売新聞
2008年5月18日
アオサギが松江城“攻撃” 巨木に巣作り フンで立ち枯れ 市など対策に決め手なし
2011年に築城400年を迎える松江城が、数年前からアオサギの“攻撃”に苦戦している。繁殖期を迎えて重文の天守閣周辺の巨木に多くの巣を作り、フンで木が立ち枯れする被害が広がっている。天守閣と周辺の城山公園を管理するNPO法人「松江ツーリズム研究会」と松江市が、巣を落とすなどの対策を試みているが、決め手はなく、被害防止に頭を悩ませている。
アオサギはサギ科で体長約90センチ。ツーリズム研究会によると、松江城周辺では4、5年前から目立って増え、約20ヘクタールの公園内で毎年3月ごろから9月ごろまで、200~300羽のアオサギが集まる。増えた理由は不明という。
特に3~5月の繁殖期は、公園内の松や杉などの高木に巣を作るため、フンの害で木の上部が丸裸になり、枯れた部分を切り落とさなくてはならない。 樹齢300年以上と推定される高さ20メートルほどの松の巨木は、昨年にいくつも巣をかけられてフンの害で弱り、倒壊の恐れが出たため、今年3月に伐採を余儀なくされた。4月のお城まつりでは、観光客の目の前にアオサギが運んでいたとみられる魚が落ちてきたこともあった。
市は、消防ホースで放水して巣を落とす作戦のほか、枝からシュロ縄を下げたり、上部に網を張ったりして巣を作りにくくする対策を実施した。しかし、景観を損なう恐れがあり、年間約20万人が訪れる観光地とあって、すべての木に対策を施せないという。
松江ツーリズム研究会の藤原勝利事務局長は「眺めが良く、えさ場の堀川がある松江城はアオサギにとって抜群の住環境だろうが、400年を生き抜いた木も守らなければならない。いい方法はないものか」と話している。