徳島新聞
2007年2月13日
徳島市の城山、アオサギふん害 巣周辺の樹木枯れる
徳島市徳島町の徳島中央公園内にある城山でアオサギが繁殖を続け、ふんで樹木が枯れる被害が出始めている。城山周辺は水辺が多く、餌の魚などが豊富で、ア オサギには最適の生息地。市中心部に自然が残っている証しだが、「城山の原生林」は市の天然記念物に指定され、ホルトノキの群落としても貴重な場所だけに、市は野鳥保護と植物保全のはざまで頭を悩ませている。
徳島市公園緑地課や日本野鳥の会県支部によると、アオサギは20年ほど前まで市内では珍しかった。ところが、数年前から徳島城博物館北側の城山の南東斜面で繁殖を始め、少なくとも数十羽が生息。城山や周辺の堀、助任川などは昆虫や魚が豊富で営巣に適しているらしい。
生息数が増えるにつれて、城山ではアオサギのふんによるさまざまな被害が出始めた。
最も懸念されるのが、樹木への影響。人の関与が少なく、自然林に近い「城山の原生林」は1963年4月に市の天然記念物に指定され、市が植生の保存に努めているエリアだが、ふんに含まれるリン酸が木の生育を阻害しているとみられる。
巣の周辺は木々の葉が落ちて真っ白の状態。サツキ、ヒラドツツジなどの低木も枯れたという。徳島中央公園で清掃ボランティアに携わる市民は「放置すればアオサギの数が増えるばかり。昔からの木にも影響が出るのでは」と心配している。
また、巣の近くにある鳥居龍蔵記念碑や貝塚周辺は、所々に白いふんが目立つ。ジョギングを楽しむ市民からは「体にふんがかかった」などの苦情が市に寄せられている。
一方で、「追い払うのはかわいそう」との声もあり、市公園緑地課は「自然のサイクルの中で木やアオサギがどうなるのか、しばらく様子を見守るしかない」と困惑している。