氷見市姿海岸沖の県名勝天然記念物・虻が島の植物をサギのフン害から守るため、市教委などは17日までに、島の樹木を蛍光色の糸で囲む対策に乗り出した。多彩な海浜植物が生息し、「自然の宝庫」といわれる虻が島からサギを一掃するための措置で、サギが寄りつかなくなるなどの効果が表れている。市教委などは来年度、島全体に範囲を広げて対策を強化する考えだ。
虻が島は、富山湾内で最大の約1315平方メートルの島で、男島と女島などからなる。多彩な動植物や200種を超える海藻類が確認され、豊かな自然環境が保たれている。
しかし、タブノキが多く自生する男島は近年、サギのフンが海浜植物を汚す被害が目立っている。タブノキはいくつも枝分かれするためサギが巣を作りやすく、繁殖する要因となっていた。
このため、市教委は昨年度、サギの天敵とされるハヤブサの鳴き声を発する模型をタブノキの近くに設置し、撃退を試みたが効果はなかった。虻が島は市の鳥獣保護区に指定されているため、サギの捕獲などはできず、対策に頭を痛めていた。
市教委は、虻が島に渡る遊覧船事業を行うなど島のことを熟知している清水一義さん(65)=同市中田=とともに新たに対策を練った。清水さんらが、男島のタブノキがまとまって自生する範囲に、高さ約6メートルのモウソウ竹を50本程度、一定の間隔で埋め、竹と竹を蛍光色の糸で結んだ。清水さんによると、この方法は畑などで導入されているという。
17日までに清水さんが確認したところ、男島に飛来するサギは6、7割程度減り、効果が表れていることが分かった。市教委によると、サギは2-3月ごろに営巣を始めることから、この時期の飛来数を確認したうえで、来年度から男島一帯に対策の範囲を広げることを検討している。
市教委は「虻が島は景勝地でもあり、美しい景観を損なわない配慮をしながら対策を講じたい」(生涯学習課)としている。