営巣林伐採問題
営巣林伐採問題
明石市明石公園内のアオサギコロニーの伐採について、「ももぴょんさん」から多くの情報をいただきました。「ももぴょんさん」の投稿は分量が多く一般的な観察情報も含むため、別にページを設けています。以下のリンクから御覧ください。
2008/05/18(Sun) 22:46 つばき アオサギのヒナ
私の自宅近くにアオサギが繁殖し森林保護の為、駆除をされました。しかし木が高い為とどく範囲のみでしたが、落とされた巣にはヒナがいて大半は死んでしまったようですが、2羽のみ生きていて、そのまま野放し出来ず、現在その林の中で柵を作って保護されています。
2008/05/19(Mon) 07:04 まつ@管理人 Re: アオサギのヒナ
尋常でない状況のようですね。ヒナがいるコロニーを破壊するというのは決してあってはならないことなのですが。
差し支えなければ駆除のあった場所など教えていただければと思います。
2008/05/19(Mon) 22:22 つばき アオサギのヒナ
場所については、申し訳ありません、お教えする事は出来ません。駆除から起こった保護でもあり、余り外部に知られたくないようです。駆除の際に保護団体の方が1羽持って帰られたようですが。また何か変化がありましたらご報告致します。
2008/05/20(Tue) 21:06 まつ@管理人 Re: アオサギのヒナ
場所の件は残念です。ただ、駆除に関わった方々が外部に知られたくないと思っているということは、当事者に後ろめたいところがあるのだと邪推します。住民とのトラブルによりアオサギが駆除される例は全国各地で起こっており、残念なことに近年その数は増えてきています。そうした不幸な出来事を少しでも減らすために、トラブルの正しい対処法を知らなければなりません。そのためには、まず現状を把握することが必要と考えます。場所の件はともかくとして、もしよろしければ駆除に至った経緯や駆除の具体的状況等について教えていただければ幸いです。
法律のことについては私はよく分かりませんが、アオサギなど狩猟鳥でない鳥は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」(いわゆる鳥獣保護法ですね)によって殺傷することが禁じられています。それはヒナであっても卵であっても同じです。ただ、この法律には「農業又は林業の事業活動に伴い捕獲等又は採取等をすることがやむを得ない鳥獣若しくは鳥類の卵は(中略)捕獲等又は採取等をすることができる」という一文があります。つばきさんが書かれている駆除は「森林保護のため」ということでしたから、この法律中の「林業の事業活動に伴い・・・やむを得ない・・・」という部分に該当すると判断されたのでしょう。しかし、この「やむを得ない」というのは人の都合でどうにでも解釈できるものです。それに、森林保護がヒナが巣立つまで待てないほど差し迫った状況というのは私にはイメージできません。アオサギのフンは時に木にダメージを与えますが、一年でどうこうなるというものではありません。何年もそうした状況が続いていたのであれば、アオサギがいないときに巣を除去すべきで、そうした配慮もなく営巣期間中の巣を落とすなどあってはならないことです。人間がどんなに迷惑したからといって、ヒナの命を奪っていいはずがありません。彼らの繁殖期にコロニーを破壊せざるを得ないような状況になったとすれは、それは明らかに人間の無知と怠慢によるものです。これは避けられる悲劇です。
駆除の詳細が分からないので、なかば私の勝手な解釈で書いてしまいました。もし当事者の中にお知り合いの方がいたとすれば、つばきさんの気分を害することになったかもしれません。ただ、ここでこのような話題が取り上げられた以上、私も自分の意見を明確にしておかなければならないと思い、不躾とは思いつつ敢えて書かさせていただきました。どうか御了承下さい。
2008/05/20(Tue) 13:32 ダイナママ Re: アオサギのヒナ
アオサギ駆除…( o_o)ガーン ご迷惑をどのようにかけたんでしょう?只今親子の観察をしている私にとっては悲しい知らせです。
せめて子育てが終わってからとかできなかった?と悲しみが倍になりました。
2008/05/20(Tue) 21:11 まつ@管理人 Re: アオサギのヒナ
駆除の話はこの時期につきものなのですが、そのたびに人間の身勝手さとか残酷さを思い知らされます。もし、ダイナママさんのようにいつもアオサギの親子の様子を観察していれば、誰も決してヒナを殺してもいいなどとは思わないのでしょうけど。
2008/03/22(Sat) 12:30 まつ@管理人 営巣放棄?
春になればいつものところにアオサギが戻ってくる、それが当たり前であって欲しいもの。けれども、残念ながら常にそうであるとは限りません。とくに、人間が彼らの営巣場所を壊してしまった場合には。
写真は北海道門別町にあるコロニーの林です。ご覧のように林の一角が伐採され向こうまで筒抜けになっています。伐採したのはNTTドコモ、ここに携帯のアンテナを建てようというのです。この写真は冬前に写したもので、伐採が終わりこれから鉄塔の基礎工事を始めようかというところです。幸い、というか不幸中の幸い、最低限の幸いですが、計画の段階でこの林がアオサギの営巣地であることをドコモ側が知り、営巣木は切らずに、コロニーに隣接する場所にアンテナを建てることになりました。しかし、アンテナが建つのはコロニーの目と鼻の先。そんな巨大な異物が忽然と表れた林にアオサギが戻ってくるのかというのは大いに疑問でした。
鉄塔は冬の間に建てられ、いよいよアオサギの飛来する季節になりました。さて、アオサギは今年もここで営巣するのでしょうか?
この話、門別にお住まいのなつごはんさんのブログ「境木村音頭」で詳しく見ることができます。じつは私も、コロニーが大変なんだということをなつごはんさんから直接教えていただいたのです。最初のいきさつから知りたい方は、このページから入られると良いかもしれません。
結論から言うと、アオサギは何とか戻ってきてくれたようです。ただ、2、3日前からある程度の群れがようやくコロニーに落ち着きはじめたという状況で、この先のことはまだまだ楽観できません。本来なら3月の10日前にコロニーを利用しはじめてもおかしくない所なのに、今年は例年にくらべざっと10日以上も遅れていたのです。札幌あたりのコロニーは例年どおりの時期にアオサギが飛来していることを考えると、この遅れは尋常ではありません。
おそらく少数のサギたちは、いつもと同じ時期、雪がまだたくさん残る時期に飛来したと思うのです。飛来した後は、とくに異常がなければそのままそこに落ち着いて後続の大きな群れが来るのを待つか、いったんいなくなっても翌日かその次の日くらいには戻ってくるのが普通です。それがここまで遅れたというのは、やはり彼らが鉄塔の存在を気にしたと考えざるを得ません。去年まで何もない林だったところにあんな馬鹿でかいものが突然できれば誰だって気になりますよね。しかも、一番安心できる場所でなければならないはずの巣のすぐ横にできたのですから。
今回、サギたちが戻ったのは、最終的には鉄塔に問題がないと彼らが判断したということだと思います。けれども、その判断には10日前後もの日数がかかっているのです。おそらく相当な葛藤があったのでしょう。今よりほんの少し伐採される木の本数が多かったとしたら、鉄塔の位置がもう少しコロニーに近かったとしたら、ほんの少し何かが違っただけで、あるいは今シーズンの営巣は無かったかもしれません。
たしかに、アオサギは環境の変化に柔軟に対応するしたたかさを持っています。その能力はおそらく鳥のなかでもかなり優れているほうだと思います。けれども、アオサギの適応力が高いのをいいことに、人間の都合優先のやり方が許されていいわけはありません。
人と野生生物の共生、そんなことが一方で言われながら、自然に対する人間の振る舞いはまだまだ身勝手で自然に甘えっぱなしです。そのことを、門別のアオサギたちは10日間の沈黙によって身を持って伝えているような気がします。
参考 ⇒ 門別コロニー
2004/06/03(Thu) 18:25 武田ぴっち ジャスコのコロニー
数年前、ジャスコができた時に、ふと入り口付近も「お客様の声」という所が目に入りました。年輩の男性の方の書き込みで、「ジャスコの裏の林にアオサギが住んでいて繁殖しているため、これ以上環境を破壊しないでほしい」というような事を見ました。それからアオサギがいるのだという事を知り、あちこちにアオサギを見に行きアオサギが好きになりました。
2004/06/03(Thu) 23:27 まつ@管理人 Re: ジャスコのコロニー
じつは、ジャスコが建つことになったとき、地域の有志の人たちが、自分たちの身近にある緑を残そうとジャスコに働きかけをしました。そして、その森にはたまたまアオサギのコロニーがあったために、アオサギはその森を象徴する存在となりました。工事に入るまでにはいろいろな曲折があったようですが、最終的にはコロニーの部分は残され今に至っています。ですから、いまコロニーが存続しているのも、じつは地域の方々の尽力の賜物でもあるのです。
とはいえ、この森も所詮は民地なので、この先ずっと開発されないという保証は全くありません。そういう意味では爆弾を抱えているコロニーともいえます。しかし、平岡のコロニーだけでなく、たいていの繁殖地は多かれ少なかれ人との間に問題を抱えているのも事実です。どうしてもコロニーを除去したいというケースもあるかもしれませんし、逆にアオサギのほうからすれば、他に営巣場所が無く、どうしてもそこにコロニーをつくらざるを得ないのかもしれません。結局、どこで折り合いをつけるかという問題になってくるわけですが、一番やりきれないのは、そのような検討も何もなく、知らないうちに木が切られコロニーが無くなっているという状況です。そういった事態をなくすためには、やはりその地域の人たちが少しでもアオサギのことに関心を持っていることが大切だと思うのです。そこにアオサギがいることを知っているだけでも全然違うと思うのです。
2002/06/02(Sun) 13:58 まつ@管理人 営巣木伐採について
このところ、札幌近郊のコロニーにおけるアライグマの影響について書いてきましたが、コロニーの存亡にかかわるような原因として今回は営巣木の伐採について触れてみたいと思います。
道内でこれまで伐採の被害を受けたコロニーは少なくとも6ヶ所あります。このうち3ヶ所は少し場所をシフトしてその場に留まりました。しかし、他の3ヶ所は完全に消滅し、その近くに別のコロニーがつくられるということもありませんでした。さて、これら6つのコロニーには共通した特徴があります。全て針葉樹(5ヶ所はカラマツ、1ヶ所はエゾマツ)の林にあるということです。つまり、これらは植林された民有林であるため経済的な理由からいずれは伐採される運命にあったのです。困ったことに、最近の新しいコロニーはどういうわけかその手の林につくられることが多く、自ずから悪循環に陥っているようです。一方、伐採の計画があったにもかかわらず、町が林を買い上げるなどして危機を免れたコロニーも少なくとも5ヶ所知られています。
伐採によって人知れず消滅するコロニーと、そうなる可能性がありながら幸運にも生き延びるコロニー、両者の境目を見つけることは困難です。今のところコロニーの命運を決定するのは、そのコロニーの知名度や規模の大小よりも、たまたま伐採の計画がアオサギに興味を持つ人の耳に入ったというような偶然によるもののほうが大きい気がします。しかし、これはアオサギにとって納得のいく状況とは言えないでしょう。
人間側の事情とアオサギの生活とどこで折り合いをつけるかを模索していく努力は必要ですが、現状ではそれ以前に、アオサギが欠席のまま判決が下されることのほうが多いようです。これはひとつにはアオサギの認知度の低さに原因があるのでしょう。まず、アオサギの存在そのものが認められなければなりません。そのために「この林にはアオサギが営巣しているよ」ということをできるだけ多くの人に知ってもらうことも方法だと思うのです。
2002/03/02(Sat) 23:05 まつ@管理人 営巣木伐採
以前、営巣木伐採について何度か触れてきました。今回、たまたま帰省した松山でそのような事例があったので書いてみます。ところは実家にほど近い神社の一角です。ここは、20年ばかり前からササゴイが住んでおり、多いときには60くらいの巣があったといいます。その巣のほとんどは一本の大きなクスノキにかけられていたのですが、この木が去る11月、伐採されてしまいました。
ところで、今回は駆除による伐採という話ではありません。このクスノキが神社の敷地の端にあったため、木の根っこが盛り上がるにつれ石塀が年々崩れそうになり、どうしようもなく伐ったのでした。とはいえ、ササゴイにとっては長年住み慣れた場所がなくなったわけであり、結果的には町中に住むサギゆえの悲劇と言えるでしょう。
かつて、この木は広く横に枝を伸ばし、その樹冠は隣接する道路を大きく覆っていました。当然、道路は樹上から降ってくるサギの糞で一面真っ白になり、乾燥している時はまだしも、雨で濡れるとその辺りに異臭が漂ったそうです。そのうえ夜行性のサギですから、あの声で夜な夜な鳴くわけです。もちろん、町中の神社ですから周囲はびっしりと民家が軒を連ねています。たまに通る場所ならともかく、そこで生活している人にとっては、あまり有り難くない存在だったに違いありません。にもかかわらず、神社の神主さんの話によると今まで苦情らしいものは無かったということです。そして、たまに巣から落ちたヒナは神主さんが里親になって育てていたといいます。
周囲に住む人たちにとっては、神社の木ということで多少は遠慮があったのかもしれません。しかし、我々の生活との間で何かとトラブルを生じ、ともすれば毛嫌いされることの多いサギたちに対し、ここでは何はともあれ長年おもて立った不満もなく共に暮らしていたことは事実です。それを思うと、人とサギとの共存もまんざら無理なことではないと、少し救いを得た気分になったのでした。
2001/12/01(Sat) 10:02 まつ@管理人 名寄コロニー
名寄コロニーでは、以前コロニーのある森が伐採されそうになりました。隣町のある人がその話を聞き、営巣木が伐採されるくらいなら、いっそ林ごと買ってしまおうということになりました。ただ、残念なことにこの人の願いは叶えられませんでした。なぜなら、同じように考えた人が、森をすでに買っていたからです。なんとも幸せなコロニーです。
2001/10/02(Tue) 17:21 奥田 音威子府のコロニー
音威子府のコロニーは今年の春先にコロニーがあったカラマツ林が皆閥され、コロニー存続が危ぶまれましたが、大半がすぐ近くのトドマツ造林地へ引っ越し、繁殖していました。営巣数をカウントしようとした矢先でしたので正確な営巣数が調べられず残念でした。
2001/10/03(Wed) 16:38 まつ@管理人 営巣木伐採
音威子府の営巣木が皆伐されたという話、びっくりしたというか、あっ、またかという感じです。(以下、音威子府の事情はほとんど知らないので、間違った認識のもとで書いていたらお許し下さい。)私の知っている限りでは北海道では2年に1ヶ所くらいの割で伐採(たいてい皆伐)によってコロニーが壊されています。その結果今まで少なくとも2つのコロニーがその地域から消滅しました。最近は民有林のカラマツにコロニーがつくられることが多いため、今後も伐採の危険に晒されるケースは多くなってくると思います。伐って売るために植えるカラマツですから、アオサギの糞で経済価値が失われる前に伐ろうとする立場は十分に分かりますが、それにしても何の議論もなされぬうちに次々とアオサギの住む場所が破壊されるのはやりきれません。かりにオジロワシの場合を考えてみると、巣が人為的な影響を受けそうになると大騒ぎになります。実は、北海道のオジロワシの巣の数とアオサギのコロニーの数はそれほどの違いはありません。もちろん個体数レベルで見るとアオサギの多さはオジロワシの比ではありませんが、一つの繁殖地へのダメージをオジロワシとアオサギで比較した場合、北海道全体として考えるとその影響はどちらも同じようなものです。けれどもアオサギに対しては、その保全へ向けた世間の関心は極めて低いのが現状です。問題点の一つは現在の保全政策というのが個体数に重きを置いているからで、この点は修正すべきだと考えます。さらに、同じアオサギコロニーでも場所によって扱われ方が異なるというのも考えてみれば不思議な現象です。人知れず消滅させられてしまうコロニーもあれば、例えば野幌のように存亡の危機にあるコロニーに対し道主導の対策協議会までつくられるような場合もあります。幸いにも、住民の努力によってコロニーが守られた事例もいくつもあります。このような違いが生じるのは、コロニー周辺住民のアオサギに対する親しみの度合いや、アオサギによるヒトへの被害の程度などが原因のようです。いずれにしても人間の主観に左右されているわけです。おそらく普通種とみなされているほとんどの生物は、その保全について多かれ少なかれこのような方向性のない状態に置かれているのではないでしょうか。必要なのは普通種についての客観的な保全生態学的知見に基づいたきめ細やかな保全策だと思います。また、どのコロニーが今どのような状態に置かれているか、ということを常時モニタリングできる態勢も必要と考えます。このサイトもそのような情報の集積の場としてお役に立てればと思ってます。