紀伊民報
2011年2月24日
アオサギのふん害増 串本町紀伊大島の権現島
和歌山県串本町の紀伊大島にアオサギが飛来し、ふんの被害が増えている。熊野速玉大社(新宮市)と深い関わりがある大島の権現島では、アオサギのふんで木が枯れるなどの被害があり、地元住民が警戒している。
権現島は、熊野権現が新宮に降臨する前に休息を取った島と伝えられている。10月15、16日にある熊野速玉大社の例大祭(県指定無形民俗文化財)には、権現島のカヤの穂と魚を献じる習わしがある。
祭りの前に権現島の鳥居の前で祈祷(きとう)した後、大島区民がカヤの穂と魚を速玉大社に届けている。カヤの穂は、「御船祭」の渡御でみこしを先導する神馬に乗る人形の後ろに飾られる。かつては権現島にあったカヤの穂を届けていたが、近年は権現島のカヤが少なくなってきたため、島の近くで自生しているカヤの穂を届けている。
権現島には、ほこらと鳥居が建てられ、神域として区民らがあがめている。近くに住む同町大島の浜泰央さん(82)によると、大島でマダイなどの養殖が盛んになり、餌を求めてアオサギが飛来することが多くなったという。浜さんは「カヤの穂や魚を速玉大社に届けないと祭りが始まらず、区民はそれを誇りに思っている。権現島に鳥のふんが増えて木が枯れるのは罰当たりな事なので、何とか対策を考えたい」と話している。
紀伊大島ではほかに、2月の水門(みなと)祭で神事が営まれる苗我島や、須江地区でもアオサギが多く、ふんの被害が出ている。