道内最大コロニー 道も対策協議へ
道立野幌森林公園(札幌市厚別区、江別市、北広島市)にある道内最大級のアオサギのコロニー(営巣地)から、アオサギがすべて姿を消していることが18日までに分かった。同公園事務所によると、このようなケースは初めて。事態を重視した道は、今週中にも自然保護団体などと対策協議会を設置し、原因究明に乗り出す。
野幌森林公園では1914年(隊商年)ごろからアオサギがコロニーをつくりはじめ、現在のコロニーは公園南側の江別市と北広島市にまたがる通称「サギの森」の一角にある。毎年、百数十羽のアオサギが飛来し、4-6月にかけてはヒナを含め2、300羽が生息している。
今年も3月15日の初飛来後、同公園事務所が4月11日に約110羽の営巣活動を確認、親鳥が卵を抱える様子などが観察されていた。しかし、4月下旬以降、アオサギがこつ然と姿を消し、現在までの調査では1羽も見つかっていない。
公園事務所公園管理部の大崎弘美主任技師によると、コロニーはこれまでも公園内で4回移動したことがあるが、いずれも近い場所を2、3年かけて徐々に移動しており、「これだけの数のアオサギが、産卵後の繁殖期に一斉に姿を消すのは、極めて珍しい」と首をかしげる。
日本野鳥の会江別支部事務局長で「野幌森林公園を守る会」の松山潤事務局長は、原因について「最近、恵庭市などで繁殖しているアライグマの足跡が、コロニー周辺で多数見つかっているうえ、卵の殻も地上に落ちていることから、木登りの特異なアライグマに襲われた可能性も十分考えられる」としている。
さらに①アオサギの撮影で入林したカメラマンや山菜採りの市民らがひどく驚かした②えさの小魚などがいる近くの川の環境が激変した③コロニーの近くに建物ができたり牧草地の造成が行われ、鳥が上空から見る地形が変化した—なども原因として考えられると指摘している。
対策協議会は、同公園事務所や同自然保護課、日本野鳥の会札幌、江別両支部などで構成、コロニー消滅の原因を探るとともに、広く道民に情報提供を呼び掛けアオサギの行方を調べている。また、デコイ(鳥の模型)を置いたり、鳴き声を録音したテープを流したりして、アオサギを呼び戻すことも検討していく方針だ。