札幌平岡の運動場跡 住民「工事の影響心配」
道立野幌森林公園(江別市など)から移住したとみられるアオサギの一群が、今年も札幌市清田区の旧たくぎん平岡総合運動場で営巣を始めたが、同運動場に大手スーパーの進出が決まっており、地元住民らはアオサギの楽園の行方に気をもんでいる。
約30ヘクタールの同運動場は、1960年代から使用されてきたが、拓銀の破たんに伴い、98年に大手スーパーのジャスコ(本社・千葉市)が取得。2000年11月をめどに、道内でも最大級のショッピングセンター建設を目指している。
アオサギは国内のサギの仲間では最も大きく、体長は約95センチ、翼を広げると約160センチにもなる。国内各地で集団で繁殖。野幌森林公園には100羽以上が毎年営巣し、道内でも指折りの繁殖地になっていた。4月中に営巣を終え、7月には本州に南下する。
地元の自然愛好家グループ「スコップ倶楽部」(道家暁子代表)によると、この場所でアオサギは営巣を始めたのは1997年4月。野幌森林公園にいた群れの一部が、アライグマに追われるなどして移住したとみられる。98年にも20羽前後を確認した。
今年も20日までに、20羽前後が木の上で巣作りをする姿が見られた。道家代表は「営巣地として定着したようだ。地域の自然の豊かさを示すシンボルになる」と話す。
それだけに、スーパーの建設工事が影響を与えないかと心配する。アオサギは繊細で臆病な鳥とされており、道家さんらは今月25日と5月8日に自然観察会を開催。自然の大切さについて地域全体で考えていくという。
これに対し、ジャスコは「自然環境に配慮した建設を進めていく。(住民側からの要望があれば)話し合いにも応じ、自然保護について一緒に考えていきたい」(社長室)と約束している。
【当サイト管理人からの補注】この記事にはアオサギの生態について明らかな間違いがあります。記事では「4月中に営巣を終え、7月中には本州に南下する」とありますが、営巣は少なくとも7月までは続きますし、本州以南に渡るのは9月から11月にかけてとみられています。