10日から愛鳥週間(バードウイーク)。熊本市中無田町の緑川右岸では、県内で最大規模とみられるサギの集団営巣地(サギ山)があり、アオサギやアマサギなどが子育ての真っ最中。約300羽のサギが集うサギ山は巣作り、えさやりで大忙しだ。
サギ山は六間堰(ろっけんぜき)の上流で、川沿いに約150メートル、幅約30メートル、広さ約5000平方メートルのメダケの群生地の中にある。密集したメダケやセンダンの木の上に巣がずらりと並んでいる。
営巣しているのはアオサギやアマサギなど五種類。対岸から双眼鏡をのぞくと、親鳥がえさの小魚をヒナに与える姿や、巣作り用の枯れ枝をくわえて飛ぶ姿が見られる。
「開発や強い農薬で昭和三十年以降、サギは減ったと言われている。現在は農薬も変わり、徐々に増えているが、それでも県内のサギ山は大きくても2、30羽程度」と日本野鳥の会県支部の光永汪(ひろし)さん(74)。
メダケが密集して人が近づけず、近くにえさ場があるなど“聖域”となっていることも奏功し、県内では断トツのサギ山となっている。
また付近は河川改修の際、サギの営巣地を保全するため、地元住民や日本野鳥の会県支部の尽力で1997(平成9)年、工事で撤去されたメダケの一部がサギ山近くに移植された。工事中はサギが驚いて逃げないよう、旧建設省熊本工事事務所は目隠し用にフェンスも取り付けたという。
「いわばサギになったつもりで、保全をみんなに呼び掛けた」と地元の加勢川流域懇談会座長の村田幸博さん(55)。光永さんは「サギはイネの苗を荒らすなど住民から嫌がられる場合も多い。これだけの規模のサギ山が残ったのには、地元の理解がないとできないでしょう」と話している。(熊本総局・小林昌弘)