毎日新聞
2005年6月11日
アオサギ:北海道内の巣が40年間で4.5倍に増加
北海道内に生息するアオサギの巣の数がこの40年間で4.5倍に増加していることが北海道アオサギ研究会(松長克利代表)の調査で分かった。餌の増加が主な理由とみられるが、一方でコロニー(集団営巣地)の数は、13倍と個体数の増加を上回っており、小規模分散化 の傾向が現れている。小さなコロニーでは、巣をつくっている樹木の伐採によって消失の危険もあり、同会は保護を呼びかけている。
アオサギはコウノトリ目サギ科に属し、国内で生息するサギとしては最大。大半は、夏は道内で営巣して繁殖し、冬は本州以南に渡る。
60年に行われた全道調査で確認されたコロニーは6カ所、巣の数は約1000個だった。それ以後は、本格的調査が行われなかったが、同会が01年から05年の4年間、繁殖期(5~7月)と非繁殖期(10~2月)の全道調査を実施。この結果、コロニーは78カ所、巣は約4500個へ大幅に増加していた。
個体数の増加の理由について、松長代表は「地球温暖化によって春先の解氷期が速まり、川や湖沼などの餌場の確保がしやすくなった」と推定。さらに「本州以南でも、餌となるブラックバスなど大型淡水魚が増え、水田で使用される農薬の減少でドジョウも増加している」ことを挙げている。
一方、「コロニーは、自然保護区内や愛鳥家が保護に取り組む都市周辺部で大規模化しているが、数個単位の小さなものは、伐採などによって消滅する危険性が高まっている」と指摘している。【吉田競】