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北海道新聞
タンチョウ営巣確認 標津川蛇行復元工事予定地 繁殖へ影響懸念
タンチョウとオジロワシの営巣が確認された標津川の工事予定地=本社ヘリから

【標津】釧路開建が根室管内標津町の標津川で「自然復元」を目的に計画している再改修工事予定地で、国の特別天然記念物タンチョウと天然記念物オジロワシの営巣が確認されていることが、22日分かった。地元関係者からは「自然復元といいながら、工事は逆に自然を壊しかねない」との声が出ている。

同開建が計画しているのは、戦前からの直線化工事で標津川から切り離され た三日月湖3カ所を再び本流とつなぎ、蛇行河川とする再改修。これにより流れによどみができ、魚や虫が増えるという。

同時に洪水対策として、標津町内の堤防を延長約4キロにわたって約500メ ートル広げ、河畔林を一部伐採する。本年度着工を目指し、総事業費は今後10年で推計50億円。

ところが工事予定地で、NPO法人タンチョウ保護研究グループ(釧路市)は今 年タンチョウ二つがい、林野庁自然保護管理員の深津恵太さん(29)=標津町 =は2005年からオジロワシ一つがいの営巣を、それぞれ確認している。

共に環境省の定める絶滅危惧(きぐ)種で、タンチョウはこの2月の道の調査で1013羽しか見つかっていない。また北海道アオサギ研究会の松長克利代表(42)によると、工事予定地にあるアオサギのコロニー(集団営巣地)には100-150つがいが集まり、根室管内に4つあるコロニーの中では最大という。

このため「人や重機が入れば鳥たちが繁殖を放棄しかねない。着工前に影響調査を」(深津さん)、「三日月湖は鳥の餌場。本流につなげると餌が減る恐れがある」(松長さん)などの声が上がっている。

これに対し、同開建は「鳥の営巣時期は工事を休み、巣のある木を切らないなどの配慮をする。問題はない」という。しかし、開建によると、タンチョウ、オジロワシの営巣は2000-01年の独自調査で確認しながら、町民に公表したの はこの15日の住民説明会が初めて。影響調査もこれからだ。

また上流の同管内中標津町内では、道が1990年から2009年までの予定で、川の拡幅とコンクリート化による護岸工事を進めている。事業費は29億円の見込み。この点についても、釧根地区自然環境対策協議会の関川宏平事務局長は「下流で自然復元と言いながら、上流で木を切りコンクリート化を進めるのは矛盾。植林に金を使った方が自然は戻る」と指摘する。

北大公共政策大学院の石弘之特任教授(環境学)は「三日月湖周辺は、直線化の傷を癒やすよう、時間をかけ自然が形成された。その自然をまた壊すというならその影響を住民に示し、工事の必要性をもっと議論すべきだ」と話している。

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