徳島新聞
2008年5月18日
アオサギのふん害深刻 徳島市の城山、原生林の一部枯死
徳島市の徳島中央公園の城山(標高62メートル)でアオサギが増え続け、ふん害で原生林の一部が枯死する深刻な状況に陥っている。城山の原生林は市の 天然記念物に指定され、市の木・ホルトノキが群生する貴重な場所。市民からは「市のシンボルの景観を損なう」と駆除を求める声が上がっているが、市は環境 保全と野鳥保護の間で手をこまねいている。
日本野鳥の会県支部によると、2年前から徳島城博物館北の城山の南東中腹で、アオサギの集団営巣が確認されるようになった。繁殖期の3-8月には100羽以上が群れを成して生息しており、巣周辺の木の葉や山肌はふんで一面真っ白。葉が落ちて立ち枯れ状態の木が少なくない。
特にホルトノキへの影響は深刻。城山の自然観察を行う「徳島城(じょう)址(し)を愛する会」などによると、20年前は250本あった直径15センチ以上の木が現在は70本以下に減り、残る木も枝が枯れ落ちるなど衰弱が激しい。
城山周辺には吉野川や助任川など餌場となる河川が多く、アオサギが巣作りしやすい樹木が生い茂っている。こうした子育てに適した環境が繁殖地になった要因という。
アオサギはサギの中でも大型で繁殖力が強い。人をあまり怖がらないため、公園内の遊歩道や青石の上にも白いふんの跡が目立つ。
市には市民から「貴重な原生林が破壊される」「公園が汚くなるので追い払って」などの苦情が寄せられている。徳島市公園緑地課は「公園内なので完全に追い払うのは難しい。対策は考えていない」と静観の構えだ。