読売新聞
2009年5月31日
新緑にアオサギ映える、対馬の山林で集団営巣
対馬市美津島町の県営対馬空港近くの山林で、アオサギ数百羽がコロニー(集団営巣地)を作っている。上空から見ると、それぞれの巣は新緑に映える淡い青色の花のよう。6月には、今春生まれた若鳥が巣立っていく。
巣の中では、親同士が長いくちばしでつつき合ったり、首を伸ばしてくちばしを上に向けたり。甲高い声で鳴き、枝から巣へ、巣から枝へと飛び交う。コサギやゴイサギなどはおらず、アオサギの楽園となっている。
アオサギはサギ科で、全長90~95センチ。翼を広げると約1.5メートルにもなる。体や翼は青灰色で、頭や首は白色。首には黒い縦じまの筋がある。
日本野鳥の会会員の馬田勝義さん(57)(佐世保市)は、ここでコロニーが形成されたことについて「近くには川や湿地、浅瀬が多い浅茅湾がある。 えさの小魚やカニ、カエルなどが豊富なうえ、人間やカラス、テンなどから狙われる心配もない。繁殖に適した環境がそろっているからではないか」と話す。
営巣は2月初め頃から始まる。6月に入ると、一つの巣から2、3羽が巣立っていく。9月中頃には親鳥も姿を消し、コロニーは空き家となるという。
山林所有者の大浦望人司(もちとし)さん(72)は「アオサギは江戸時代頃からここで繁殖を繰り返していると聞いている。毎年、アオサギによって春が来た、秋が来たと知らされる。朝から晩まで騒々しい鳴き声にも慣れました」と笑顔を見せている。