篠山市黒田の人工林でサギ類が集団営巣し、鳴き声やふんが周辺住民を悩ませている。巣は100個以上あり、200羽ほどが一斉に鳴いたり、窓が開 けられないほどの悪臭がしたりと、住民は「ゆっくり眠れない。毎日、屋根や車の上にふんを落とされる」と訴える。市は「木を伐採しても巣が移動するだけ。 根本的な解決にはならない」と頭を悩ませている。(敏蔭潤子)
サギ類は川や水田で魚類やカエル、貝類などのエサを捕り、エサ場から近い森や林に集団で営巣する。黒田地域では約8年前から繁殖期の4~8月、篠山川沿いの竹やぶや人工林約1ヘクタールで子育てするシラサギやアオサギの姿が見られるようになった。
竹やぶから道路を挟んだ住宅に11年前引っ越してきた女性(51)は「空気の良い所で暮らしたくて篠山に来た。さわやかな季節に窓が開けられないなんて」 と嘆く。バルコニーの手すりにはふんが落ち、網戸には細かな羽毛がささっているという。約200メートル離れた住宅の男性(66)は「田んぼでカラスがひなを食べたり、卵の殻が10個ほど置いてあったりする。林の上で100羽以上が一斉に羽ばたきながら騒いでいることもある」と苦々しげだ。
市農林政策課によると、5年ほど前、同市河原町の王地山でも騒音被害があり、木を切ったところ、サギは約1キロ西の同市南新町に巣を移した。ここでもエノキを切り、竹やぶを整備すると、ほかの場所に移動したという。市は「巣の下でバケツの音を鳴らして、安心して住めない所と教えると、出ていくことがあるが、別の場所に移動するだけなので、解決にはならない」。人と自然の博物館(三田市)の遠藤菜緒子研究員は「昔は集落近くに大きな森があったので、サギが集団でいても、住民の迷惑にならなかった。宅地開発が進み、サギのすみかが限られてきている」と指摘する。