山形新聞
2010年4月8日
「サギ被害」を防げ! 鶴岡の寺院で実証実験
鶴岡市内でサギの鳴き声による騒音やふん害の被害が相次いでいることを受け、同市は9日、サギの集団営巣の防止に向けた実証試験を始める。昨夏に被害が見られた常念寺(睦町・渡辺成就住職)で、農作業で使う風船やテープを樹木に設置するなどし、特効策がないとされるサギ被害防止への有効策を探る。
サギは5〜8月に集団営巣し、繁殖する習性を持つ。繁殖後は群れを解くため被害は一時的だが、営巣個所では夜の鳴き声やふん害に悩ませられているという。大督寺(家中新町)で1998年に被害が発生し、境内の樹木を伐採するなどして対応。2008年に営巣が確認された日枝神社(日枝)ではスギ約70本を切ったほか、昨年被害に遭った常念寺もスギなど17本を伐採し、ほかの樹木も枝打ちなどを行った。
市環境課によると、根本的な解決策は「樹木を根元から切るしかない」という。しかし自然保護や動物愛護の観点から、市街地で集団営巣すること自体を防止する方法を模索することにした。試験では、目玉が描かれた風船や光を反射するテープを常念寺境内の東・西・南側の樹木に掲げて効果を見る。今後、防鳥用のネットで樹木を覆うことなども検討している。
被害に頭を悩ませる渡辺住職は「昨年は泣く泣く樹齢150年ほどの木を切った。鳴き声で眠れずに体調を崩した地域住民もおり、これはもう公害だと考えている。やってみないと分からないが、問題の解決に向けて取り組みたい」と話している。