∞鶴岡市、繁殖期前に追放作戦
鶴岡市は、市街地の寺社林がサギのコロニー(集団営巣地)のせいで失われるのを防ごうと、9日、サギ追放作戦に乗り出した。繁殖期を前に「家探し」に懸命なサギたちと、鳴き声で夜も眠れない人間の「戦い」が始まった。
市環境課の職員が、同市睦町の常念寺(渡辺成就住職)の境内で、寺の渡辺剛紀さん(43)が用意したアルミ製の風船9個を束ね、木立の樹上に浮かべた=写真。「アオサギには効果も確かだが、ゴイサギにはどこまで効くか」と渡辺さん。
∞営巣対策で伐採の危機に
昨年5月、寺にアオサギなどのコロニーができ、ふんや夜通しの鳴き声で近くの住民は眠れなくなった。8月には体調を崩して入院する人まで出た。市や県に相談して様々な対策を試みたが、決定打はなく、10月には樹齢100年以上のスギやイチョウなど17本を伐採し、数十本の幹を途中で切る「先止め」にした。
コロニーができると寺社林は伐採に追い込まれかねない。市は危機感を強め、今年度予算に約90万円の対策費を計上。4月の市広報でも「鎮守の森など高木が密集しているところでサギの飛来、営巣に注意して」と呼びかけた。
∞目玉風船・光るテープ・花火…
常念寺には今年も2月下旬からサギが姿を見せ始めた。近所の人が追い払っても、十数羽が松の大木に集まっている。鳥を脅す目玉風船やキラキラ光るテープ、ロケット花火も用意。防鳥ネットの使用も考えている。
市内では、神明町の鶴岡天満宮や鳥居町の常源寺、旧藤島町長沼の八幡神社などにサギが飛来している。鶴岡公園の一角、御城稲荷神社はカラスのねぐらを防ぐため、昨年10月、二十数本の高木を伐採したが、残った数本の杉にアオサギなど数羽が飛来し、ギェーッ、ギェーッと鳴き交わしている。
サギ対策での樹木伐採は、1998年に大督寺(家中新町)の酒井家墓所、2008年の上山王日枝神社(日枝坂本)などと続いた。中村賢・ 環境課長は「これ以上樹木を伐採せずに、何とかコロニーを防ぎたい」と語った。