サギの集団営巣防止に向けた実証試験が行われている鶴岡市で、これまで見られなかった鶴岡公園でサギが多数確認された。集団営巣されると、周辺は鳴き声による騒音やふん害に悩まされるため、市は園内の樹木に目玉風船を取り付けるなどの対策を実施。市街地の寺院で行っている実証試験では、サギの追い出しに一定の効果が出ていたが、別の場所で営巣の恐れが出たことで、問題はイタチごっこの様相を呈してきた。
公園に多くのサギがいるとの情報が市民から市環境課に寄せられたのは、今月10日。ロケット花火を打ち上げたところ「300羽近いサギが飛び立った」(同課)という。翌日からは公園を管理する都市計画課が、環境課の協力を得て毎日5回程度、ロケット花火での追い払いを実施した結果、園内のサギは数十羽まで減ってきている。
環境課は園内のアオサギなどはすでに巣を作ったとみている一方、「大多数を占めていた夜行性のゴイサギは営巣場所を探している最中のはず。営巣させないように、この間に対処しなければ」と危機感を募らせる。14日には市職員ら約10人が、荘内神社西側の林などに、営巣防止のために釣り糸と目玉風船を設置。都市計画課では今後、ロケット花火での追い払いを継続し、公園にサギが寄り付かないようにする考えだ。
市街地の寺院では以前からサギによる被害が発生し、樹木を切るなどの対応をせざるを得ない状況だった。このうち昨年被害があった常念寺(睦町)では、先月から樹木に風船や釣り糸を掲げるなどの実証試験を行っており、ことしに入って営巣された様子はないという。
公園近くに住む60代男性は「常念寺から追い出されたサギが鶴岡公園に移ったのではないか」と話し、環境課も「サギが市内を移動している可能性はある」としている。同課は「このまま鶴岡公園からサギがいなくなっても、次にどこに行くかは分からない。市民に関心を持ってもらい、たくさんのサギが来たらすぐに情報を寄せてほしい」と呼び掛けている。