岩手日報
2009年6月18日
今度は矢巾でもオタマジャクシ 全国で落下相次ぐ
紫波町に続き、矢巾町でも17日、オタマジャクシが空から落下する珍現象が目撃された。全国各地でも同様の目撃が相次ぎ、謎は深まるばかり。アオサギなど鳥類の「犯行説」がある一方、飛行中にはき出すことに否定的な見方もあり、専門家の意見も割れている。
矢巾町煙山の農業佐々木初太郎さん(66)は同日午前5時ごろ、水田の見回りのため自宅を出た直後、目の前の路上にボトボトと音をたて30匹以上のオタマジャクシが落ちてきた。上空にはカラス1羽が見えたという。
オタマジャクシは体長3、4センチほどで、大多数がつぶれるなどして原形のものはなかった。佐々木さんは「カラスがはき出したのか。こんなことは初めて」と目を丸くする。
なぜ空からオタマジャクシが…。矢巾、紫波両町で姿が見られるアオサギなどの仕業という指摘がある。筑波大大学院の藤岡正博准教授(動物生態学)は「茨城や滋賀の繁殖地で、飛び立ったサギ類がエサをはき出す様子を観察した」と語り、外敵に威嚇されたり驚いた時の行動とみる。
一方、県立博物館の藤井忠志学芸第3課長(生物学)は「アオサギはひなに給餌する時にエサをはき出すが、飛行中は考えにくい」と否定的だ。
佐々木さんによると、落下当時、風はなかった。突風や竜巻がオタマジャクシをさらった可能性は小さく、今後も論議を呼びそうだ。