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やはり投稿者:ピボット投稿日:2009/02/03(Tue) 21:35No.1163

突然の質問にもかかわらず
早速 ご丁寧なお返事をいただきましてありがとうございます

やはり常軌を逸する行動なのですね


アオサギかどうかは確信はありませんが
(ワンコの事は専門ですが鳥さんの事はあまりわかりません)
別の公園で撮ったものですが同じ様な鳥なので画像添付します
アオサギの画像を色々見せていただきましたが
同じ種類に見えるのですが.....


行動も
暗闇の事でしたがはっきりと目にし 
交尾でないとわかり近づくと
攻撃した方の1羽は少し離れ 池に入り
クチバシを水ですすぎ じっと離れず死骸を見つめていました



大阪市内の カモやアヒルがいる小さな公園です
以前から1羽が住み着いていて
浅瀬を歩き 魚を捕まえ丸呑みしている様子は
度々目にしましたが.....


本当に何が起こったのでしょうね



先ほど気になり母が見に行くと
かわいそうに寒い雨の中 まだ死骸あったそうです


明日 公園の方に連絡して
しかるべき処置をしてもらいます



悲しいお話ですみませんでした

都会に生きる生物の生態系に何かよからぬ変化が起こっていない事を
願うばかりです

Re: やはり投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/02/05(Thu) 07:24No.1165
ピボットさん、写真の鳥は間違いなくアオサギです。同じような鳥といえばシラサギ類がいますが、シラサギの場合は白いのでアオサギと間違うことはないと思います。

今回の出来事はたぶん例外中の例外だと思います。ただ、アオサギの習性ということでいえば、近年、アオサギを取り巻く環境が変わってきたのにつれて変化してきているのは確かで、とくにピボットさんお住まいの大阪の辺りでは、都市環境への適応が、わりと極端な形で表れていると言えるかもしれません。たとえば人工的な環境で営巣するとか人に対する警戒心が薄れるとかいったようなことです。けれども、そうした変化は彼らが潜在的にもっている環境適応能力や学習によるものであり、その範疇を超えることはまず無いと思います。同種を殺してしまうというのはこれとはちょっと次元の違う話のように思います。
ただ、私たちはアオサギについてほんのわずかのことしか知りませんし、生き物のことですから何が起こるか分からないというのが本当かもしれません。

生き物ですから、楽しい話もあれば悲しい話もありますよね。楽しいこと明るいことばかりに目を向けていたのでは生き物なんて見えてきませんから。そういう意味でも、ピボットさんの今回のお話は貴重でした。ありがとうございました。
教えて下さい投稿者:ピボット投稿日:2009/02/02(Mon) 23:33No.1161

初めまして

今日夜9時頃 近くの池のほとりで2羽のアオサギがいました
1羽がもう1羽の上に乗り 激しく頭を突ついています
交尾?? 暗くてあまり見えずそっとしておこうと思いましたが

少し気になり もう1度見にいくと
突つき倒して 引きずり 

1羽を殺してしまいました


あまりにショックな出来事を間のあたりにして
このような習性があるのか知りたくなりました


このような行動はあるものなのか
教えていただければと思います



Re: 教えて下さい投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/02/03(Tue) 20:36No.1162
ピボットさん、はじめまして。
そんなことがあるのですね。私も大変ショックです。読み返して、突つき倒した上にひきずっていたというところで、改めて常軌を逸した行動のように思えました。
アオサギの場合、同じ巣にいるヒナが別のヒナを攻撃し殺してしまうことはあります。これはけっこう頻繁に見られます。けれども、巣立ったアオサギ、あるいは成鳥が同種を殺したというのは私は見たことがありません。聞いたこともなければ、そうしたことがあると想像したことさえありませんでした。ピボットさんが目撃されたのは極めて例外的な事例だと思います。

相手の背中に乗るというのは、ピボットさんが書かれているように交尾の時の体勢でもあります。こうされると乗っかられたほうはどうも自由が利かなくなるようです。また、後頭部を突っつくというのはヒナが相手を攻撃するときの常套手段で、一方的な攻撃の場合は相手が背を向けることもあって必ず後頭部を突つきます。なので、背中に乗って後頭部を突っつくというのはアオサギにとって最も理にかなった攻撃の仕方なのかもしれません。もっとも私は見たことないですが。

それにしても何故そこまでひどい状況になったのでしょう。少なくとも小さい頃の兄弟殺しには餌にありつくためという合理的な理由があります。けれども、いったん巣の外に出てしまえば何かと自由度は高くなるわけで、相手を殺さなければ自分が餓死するというようなせっぱ詰まった関係はちょっと想像できません。配偶相手を巡っての争いというのもあるにはありますが、それがエスカレートして殺してしまうなどというのは餌の場合よりさらにあり得ないように思います。百歩譲って、何かとてつもなく尋常ならざる状況があって結果的に相手を死に至らしめたとしても、突つき倒した相手を引きずるというのはもはや想像の域を超えています。抵抗できなくなった相手を引きずるということにどんな意味があるのでしょうか。自分が食べようとして殺したのならそういう行動もあるかと思いますが、アオサギは丸呑みできるものしか食べられませんからその可能性はゼロです。

想像できない、分からないばかりでまともなお答えになりませんでしたが、少なくともアオサギが同種間で致命的な攻撃を行うことはアオサギの一般的な習性ではありません。考えれば考えるほど理解できない状況のように思えます。いったい何が起こったのでしょうね。
お久しぶりです♪投稿者:肝っ玉母ちゃん投稿日:2009/02/01(Sun) 16:44No.1159

本日も我が家の屋根にとまってたのをカメラでおさめることが出来ました♪
ここ数日の雨のお陰で屋根の糞は結構流れてきれいになってます(^ー^* )フフ♪

Re: お久しぶりです♪投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/02/01(Sun) 22:24No.1160
こんばんは。
やっぱりアオサギの幼鳥でした。以前の写真と同じアオサギのようにも見えますが、さてどうなのでしょう。見上げるようにカメラを向けられても、警戒した様子もなく堂々としたものですね。

聞くところによると、早いところではもうコロニーに入って巣材を運び始めたアオサギがいるそうです。2月になったばかりだというのに、何とも気の早いことです。ただ、写真のアオサギに限って言えば、今年はそんな慌ただしさとは無縁のはずですよ。アオサギの場合、一年目ではまず繁殖しませんから。ということで、この先もしばらくはお気に入りの屋根に居座りそうですね。
西海岸のオオアオサギ投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/01/14(Wed) 07:33No.1158

カナダ西海岸のオオアオサギに何か異変が起こっているようです。
下記のニュースサイトに記事が載っています。
http://www.cbc.ca/canada/british-columbia/story/2008/11/25/bc-herons-threatened.html
なんでも、例年1羽平均で巣立つヒナが昨シーズンは半減したのだとか。例年でも1羽というのも驚きですが、それが半分になるということは、たとえば10つがいが営巣したとして巣立つのはわずか5羽、これでは個体群を維持するのは難しいでしょうね。
異変が起きているのはバンクーバー周辺地域のコロニーです。ひとつやふたつのコロニーであれば、そのコロニーの周辺環境が大きく変わったとか、コロニーに人が入って攪乱したなどの原因が考えられますが、広範囲に渡って多数のコロニーに同じ状況が見られるとなるとこれは少し話しが違ってきます。

この原因について、別の新聞はもう少し踏み込んだ内容を書いています。
http://www.vancouversun.com/Technology/Island+great+blue+herons+flee+from+preying+eagles/1010120/story.html
ハクトウワシの影響ではないかと。実際、ハクトウワシにオオアオサギのヒナが捕食されたり、そのことでコロニーが移動したということがあったようです。これに関しては、日本のアオサギとオジロワシでも同じような状況が見られるので理解できます。ただ、オオアオサギもハクトウワシも昔から同じところにいたわけです。それが、昨シーズンに限って繁殖成績が半減するほどの事態を招いたとは、いったい何が起こったのでしょうか? 記事には、ハクトウワシの普段食べている餌(サケ)が不足したからではないかと書かれています。つまり、去年、餌不足に陥ったワシが目先を変えてオオアオサギのヒナを襲ったのではないかということです。全てがこれで説明できるとは思いませんが、広範囲で同じ状況が起こるということを考えると、説得力のある説明のひとつだと思います。もちろん、アオサギ自身の食べる餌が不足したということも十分に考えられます。むしろ、こちらのほうをまず考えなければならないのかもしれません。ただ、これ以上推測するにはちょっと情報が少なすぎますね。

こういう話を耳にすると、日本でこのような調査が行われているのかどうかが気になりますが、残念ながら、国内でアオサギの巣立ちヒナ数を継続的にモニタリングしているところはほとんど無いと思います。まして広域で多数のコロニーをモニタリングしているところは皆無なのではないでしょうか。この辺は、アオサギの保護・保全というものを考えていく上で、まず手を打っていかなければならない課題だと思います。

これは…投稿者:肝っ玉母ちゃん投稿日:2009/01/04(Sun) 19:12No.1154

はじめまして。
我が家の屋根でザリガニを食べ、糞を大量にしている鳥が居ます(;^_^A アセアセ・・・
本日写真撮影も成功したんですが、これはアオサギですか?

Re: これは…投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/01/04(Sun) 19:43No.1155
はじめまして、肝っ玉母さん。
間違いないです。食べかす、フン撒き散らしの犯人?はアオサギです。この写真を拝見すると、羽毛の色からして、まだ完全な成鳥にはなっていないようですね。おそらく、生まれて2年目の冬を越しているところだと思います。

アオサギは体が大きい上にけっこうな量を食べるので、どうしてもフンの量も多くなるんですね。おまけに魚食性ときていますからフンに独特な異臭もあって・・・。その点を毛嫌いする人は多いです。ただ、昔はこのフンも貴重な肥料だったそうで、わざわざコロニーの下に行って集めていた頃もあったと言いますから、時代も変われば変わるものです。有機肥料として、もう一度、アオサギのフンが見直されるようになれば、もう少しアオサギに対する見方も変わるような気がするのですが。
それはそうと、屋根の上にあのフンをされたら、あんまり気持ちの良いものではないですよね。お気持ちお察しします。一刻も早く雨が降ってフンが流されますように。
Re: これは…投稿者:肝っ玉母ちゃん投稿日:2009/01/04(Sun) 20:43No.1156
回答ありがとうございます♪
やっぱりアオサギなんですねぇ。
我が家の裏が用水路?小さな川があって、引っ越してきた時からこの鳥を見てました。
ですが、屋根にとまり出したのはたぶんここ数ヶ月の間です。
糞は雨で流れるだろうから気にはしてませんが、ザリガニの死骸が(;^_^A アセアセ・・・
糞の匂いも今のところ気にはならないです。
と言うか、屋根の上なので(^▽^;)
何ていう鳥なのかわかって、なんだか愛着がわきました♪
Re: これは…投稿者:まつ@管理人投稿日:2009/01/04(Sun) 23:23No.1157
名前が分かると不思議に愛着がわくものなんですよね。なんでも。
とりあえず、フンは気にされてないということでほっとしました。

アオサギはけっこうザリガニが好きらしくて、私も巣の下でザリガニのハサミを見つけたことがあります。アオサギにしてみれば、魚よりも簡単に獲れる獲物なんでしょうね。見かけほどには食べるところが無さそうですが。

そのアオサギとザリガニですが、こんな民話があります。話によってはザリガニがカニになっていたり細部は多少異なりますが、だいたい次のようなものです。

アオサギと魚とザリガニ
昔、大きな池の縁にアオサギが住んでいました。アオサギは池の魚を獲って暮らしていました。けれども、そのうち年老いてくると、十分に魚を獲ることができなくなってしまいました。そこでアオサギは楽に魚を獲る方法は無いものかと考えました。ある日、アオサギは魚たちに言いました。「魚さん、魚さん、この池は近いうちに干上がってしまうそうだよ。そこで一案があるんだが、山を越えた向こうにもうひとつ大きな池がある。ぼくが魚さんたちを一匹ずつくわえてその池に運んであげようと思うんだ。どうだろう?」魚たちは親切なアオサギの提案に大賛成でした。そして、その日からアオサギは魚を一匹ずつくわえて池を飛び去るようになったのです。池の魚がずいぶん少なくなったある日、一匹のザリガニがアオサギに尋ねました。「アオサギさん、アオサギさん、魚さんたちだけでなく、ぼくも連れていっておくれよ」アオサギはもちろん承知しました。アオサギはザリガニをひょいとくわえると、魚たちにしたのと同じようにもうひとつの池に向けて飛び立ちました。しかし、飛んでも飛んでももうひとつの池が見えてきません。そればかりか、地上には魚の骨が無数に散らばっています。「やい、アオサギ、よくもぼくたちを騙したな」とザリガニが怒って言いました。「今頃になって気付いてももう手遅れだよ。では、お前も・・」とアオサギが言いかけたその時でした。ザリガニは魚たちと違ってはさみを持っていたのです。そして、アオサギの首をはさむと、すっぱりちょん切ってしまいました。その後、ザリガニは元の池に戻り、残った魚たちとともに平和に暮らしましたとさ。おしまい。

肝っ玉母さんのところのアオサギ、その時の仕返しのつもりなんでしょうか?
はじめまして投稿者:あまさぎ投稿日:2008/12/28(Sun) 21:07No.1150

鷺や鵜などの首長ドリが大好きな私にとってこちらのサイトは感動ものです。マニアの私にはたまらない^^北海道ではシラサギ類は少数派とのこと、知りませんでした。アオサギは家の近く(岡山)ですと朝方や夕暮れ時によく屋根の上にいて、ハシビロコウのように固まってます。岡山県の日生の市場では我が物顔で歩き回ってて、愛嬌があります。

Re: はじめまして投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/12/29(Mon) 20:55No.1151
あまさぎさん、はじめまして。
そういうふうに言っていただけると、こんなサイトでも続けていて良かったなとつくづく思います。ありがとうございます。

屋根の上にとまるアオサギというのは私も一度見たことがあります。なんだか間違った構図の絵を見せられているようでとても違和感がありました。もっとも、そのアオサギを見たのは私の実家のある松山でのことで、ここ北海道では今でもその手の話は聞いたことがありません。市場を歩き回るアオサギというのもいませんし…。そちらに比べると、北海道の場合はまだまだ人とアオサギとの間に距離があるのかなと思います。ただ、このところこちらのアオサギの世界も急激に変化しつつあるので、その差が埋まるのもそう遠い先のことではないかもしれません。

アオサギと人との距離が縮まることに警戒感をもつ人もいれば好意的に捉える人もいます。私は、まあ、なるようにしかならないだろうという感じですが、考えてみれば、アオサギが警戒心が強いというのは、アオサギという種に特有の性質が多少影響しているにせよ、基本的には人が彼らを虐待してきた歴史があるからに他なりません。そういう不幸な歴史がかつて途切れたことがなかったため、警戒心が強いというのがあたかもアオサギ本来の性質であるかのように思われてきたのだと思います。アオサギを食料にしたり狩猟したりすることが無くなった今、アオサギの人に対する距離の取り方が変わってきたのは当然のことで、この傾向はこの先ますます顕著になるような気がします。

野生の鳥が人の生活圏に深く入ってくれば、たとえば鳥インフルエンザだとか、そういった実際的な問題はいくつも出てくると思います。しかし、そうした問題には一切煩わされずに、ただ、アオサギが日常生活の中に身近にいるという世界を想像してみたいと思うのです。たとえば、商店街で人間の通行人が歩いている横を、アオサギが普通に歩いているという光景。餌や繁殖を目当てに行動している彼らが商店街に進出するというのはちょっと考えにくいかもしれません。けれども、あちこちでこれまで考えられなかったような所に出没するようになっていることを思えば、それに近いことは十分にあり得ると思います。こうなると、人間の意識も徐々に変わってくるはずです。この世界には人間だけでなく、同じようにアオサギも生きているのだと。そのことを頭でなく日常感覚の中で認識できるようになれば、これは大きな変化です。そうなれば、人間の野生生物に対する尊大な態度も少なからず改善されることでしょう。
だから、そんな世界があってもいいなと思うのです。
ありがとうございます投稿者:あまさぎ投稿日:2008/12/31(Wed) 22:04No.1152
警戒感、ですか。確かに万が一鳥インフルでパンデミックみたいな事が起こってしまうと人は野鳥を駆除しようとするのでは。慣れた鷺たちはかわいいし、もっと近くで見たいと思うのですが・・。難しいです。人間ほど危険な生き物はいないですよね・・。まつさん、つたない投稿にお返事ありがとうございました。良いお年を。
Re: ありがとうございます投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/12/31(Wed) 22:49No.1153
まあ、なんだかんだ言っても、人もサギも安心して近くにいられる世界のほうが、お互い幸せですよね。
あまさぎさんも、どうぞ良いお年をお迎え下さい。
メリー・クリスマス!投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/12/25(Thu) 00:41No.1149

クリスマスということで、キリスト教に関連した話題を少し。
ウイリアム・バトラー・イエイツといえば、19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍したアイルランドの詩人・劇作家で、幻想的な詩や散文を多く残したことで有名です。その幻想的な散文のひとつに「The Old Men of the Twilight」というのがあります。
原文はこちら ⇒ http://www.online-literature.com/yeats/2860/
タイトルは薄明時の老人達とでも訳せるでしょうか。twilightというのはうすぼんやりした光の状態ですから、時間帯としては黄昏時でも夜明け前の薄明時でも構わないのですが、ここでは物語の内容からして夜明け前の薄明でなければなりません。
さて、この物語にはアオサギが登場します。しかも、ただの風景の中の点景や脇役としてではありません。薄明時の老人達そのものがじつはアオサギなのです。

物語は、岬の小屋で番をしている男が、薄明時にアオサギの群れが水辺に下りるのを目撃するところから始まります。男はそのうちの一羽を銃で撃ちます。しかし、仕留めたと思ったのはアオサギではなく、じつは人間の老人だったのです。撃たれて瀕死の老人は、自分たちがアオサギの姿になっていた訳を男に語ります。かつて自分たちがドルイド僧だったということ、そして、あるとき聖パトリックが現れ、彼の布教活動に無関心なドルイド僧たちをアオサギの姿に変えたのだということを。

なお、ドルイド教とは、アイルランドをはじめとした古代ケルト社会で支配的だった土着宗教のことです。また、聖パトリックとは、それまでドルイド教が支配していたアイルランドにキリスト教をはじめて流布した人物です。いわゆるアイルランドの守護聖人ですね。

その聖パトリックがドルイド僧たちに罪の宣告をする場面があります。以下にその和訳を載せますが、私が自己流に訳したものなので稚拙なところはご容赦下さい。ともあれ、この物語の核心部分です。

「我は汝らを呪う。我は汝らの姿を変え、永遠に人々の見せしめにすることにしよう。汝らはアオサギになるのだ。そして、灰色の池で考え事をしながら佇むがよい。ただし、星々が瞬くのをやめてから日の光が射しはじめるまでの時間、世界が寝息で満ちあふれるあの時間だけは飛ぶことを許そう。そして、他のアオサギどもが汝らと同じように人々の見せしめになるまで汝らは説教を続けるのだ。死は汝らのもとを突然訪れ、その死を予見することはできないだろう。汝らに確かなものはなにひとつなくなるのだ」

迷訳なので分かりにくいかもしれませんが、ここでのアオサギがキリスト教世界の外の存在を象徴するものとして描かれているのは確かです。たしかに、アオサギのあの佇んだ姿勢は、何かを思索していると思わせるのには好都合かもしれません。一応、何かものを考えてはいるが、キリスト教の神を崇拝するのではなく、それゆえ真実に至ることもない存在、聖パトリックから見ればアオサギはそんな無意味な思索をする輩でしかなかったのでしょう。つまりそれはドルイド僧そのものの象徴であるとも読めるわけです。

物語のこの部分だけを引用すると、イエイツがキリスト教の世界観を擁護していると受け取られるかもしれません。けれども、実際はそうではなく、むしろキリスト教の価値観とは一線を画したところに身を置き、ドルイド教をはじめとした土着の宗教やアイルランドの神話的な世界に強く影響されていたのです。であればこそ、ここに描かれるアオサギも、ここでイメージされるようなネガティブな存在としてではなく、何か別の象徴として捉え直す必要があるのです。

イエイツのアオサギを考えるヒント、それはこの物語のタイトルに使われているtwilightという単語にあります。この語はイエイツにとって単に光の状態や時間帯を表すものではありません。イエイツのtwilightとは、アイルランドにもとからあった土着的な世界とキリスト教世界、そのふたつの世界の境界域に横たわる、両者が溶け合う特別な時空を表象するものなのです。そして、そのtwilightの時間に飛ぶことを許されたのがアオサギだったのです。おそらくイエイツは、異なる価値基準が併存したアイルランドで、両者を繋ぐ架け橋的な存在の象徴としてアオサギを描いたのでしょう。

以下、余談ですが、同じくアイルランドにゆかりのある人物、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンについて少し触れてみます。
彼の名のラフカディオがじつはミドルネームだというのを御存知でしょうか? 本当はパトリック・ラフカディオ・ハーンが正しいのです。であれば、本来はパトリック・ハーンと称しても良さそうなもの。けれどもそうでないのは、ハーンが聖パトリックに因んで名付けられた自分の名前をあまり好んでいなかったからだとも言われています。一方、苗字のハーンのほうはどうでしょう。こちらは英語でHearnと綴ります。Hearnは語源としてはHeronと同じ。Heronはもちろんサギのことですが、アイルランドではとくにアオサギを指しています。ハーンもそのことは十分に意識していたようで、彼がわざわざ鷺を意匠にした家紋をつくったというエピソードからも、ハーンが自分のアオサギ姓を人一倍気に入っていたことが伺われます。

キリスト教世界から距離を置きつつ、アオサギを通してその向こうに広がる幻想世界をかいま見ようとしたイエイツ。同じくキリスト教の世界に懐疑的で、アオサギに少なからぬ縁のあったハーン。そして、ハーンもやはりアイルランドでのイエイツ同様、日本のトワイライトの世界を探求することになるのです。私はこの二人に不思議な一致を感じます。ほぼ同時代を生きた彼らにどのような繋がりがあったのか? それもまた、トワイライトの異界に身を委ねればおのずと解ることなのかもしれません。

冬ねぐら投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/12/05(Fri) 22:38No.1143

左の写真は何を写したものでしょうか? じつはこれ、江別にあるアオサギの冬ねぐらなのです。一見、葉を落としたただの木のようですが、クリックして拡大すると、2本の木に合わせて21羽のアオサギが確認できます。
この冬ねぐらは繁殖コロニーのすぐ近くにあります。コロニーとここは直線距離で1キロ弱。であれば、コロニーをそのまま冬ねぐらにしても良さそうなものですが、なぜかそうはなりません。夏と冬では木の状態も周囲の景色も異なりますから、夏は夏、冬は冬でそれぞれ居心地の良い場所が違うのでしょう。
ここに残るアオサギは、例年、20羽から30羽ほど。一方、ここのコロニーの巣数は少なく見積もっても150。つまり、成鳥だけで300羽、巣立った幼鳥も入れると600羽にも700羽にもなる大所帯です。そのうち残るのが2、30羽ですから、割合としてはごくわずかです。けれども、北海道での越冬の群れとしてはこれでもかなり大きいほうなのです。ここより北の地域でも少数が越冬していますが、越冬個体群といえるほどの規模となると、ここが国内最北の越冬地と言えるのではないでしょうか。

ところで、この時期のアオサギを見て思うのは、果たして春まで生き延びれるのかということ。写真のような穏やかな天気ばかりだと問題ないのですが…。まあ、毎年のことだから、経験のある成鳥であればなんとか上手くやっていけるのでしょう。ただ、幼鳥となると話は別。幸い、今年の群れには幼鳥はいなさそうです。その点、この冬はいくぶん安心して見られそうな気がします。

Re: 冬ねぐら投稿者:カラス投稿日:2008/12/06(Sat) 20:44No.1144
アオサギのイメージの一つは、11月に姿を消して4月に現われるというものでした。
特に雪の残る4月の水辺や空を飛ぶアオサギを見て、春が来ると実感したものでした。それが、冬にもアオサギの姿があるという景色は不思議なものを見る感じです。
Re: 冬ねぐら投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/12/07(Sun) 12:51No.1145
カラスさん、こんにちは。
上に載せた写真は2週間ほど前に撮ったものです。昨日から雪が降り続いていますから、今は景色も一変し、木の枝もサギたちの背中も雪で真っ白になっていることでしょう。

北海道でこのように比較的まとまった数のアオサギが越冬する所は、ここ以外ではウトナイ湖と静内、十勝川くらいです。他は、昔と変わらず冬になる前に南へ渡っています。北海道での越冬がウトナイ湖に限られていた20年ほど前に比べれば越冬地が増えたことは確かですが、北海道全体で見れば、道内で冬を越すアオサギというのはまだまだ稀な存在だと思います。

ついでに、左の写真。このサイトのトップページに載せたのと同じものです。これは、上の写真の場所から200メートルほど離れたところで撮ったものです。この写真を見て、サギたちの雰囲気がどことなくそわそわしているなと思われた方は鋭い観察眼をお持ちです。もし、彼らが本当にしっかり休むつもりなら、こんな細くて不安定な枝にはとまりませんから。これは、何かに驚いて飛び立った後、危険が去ってとりあえず下りてみたという状況なのです。おそらく、この付近をよく徘徊しているオジロワシか何かを警戒したのでしょう。
Re: 冬ねぐら投稿者:カラス投稿日:2008/12/09(Tue) 12:10No.1146
まつ@管理人さん、こんにちは。
返信ありがとうございました。道内で冬を越すアオサギはまだまだ稀なそうですが、その稀なアオサギが冬の札幌市内の創成川にこの数年来、時々姿を見せるようになっていて、創成川の下水処理場の横を通る時は川を覗いています。

アオサギはワシを警戒するそうですが、ワシに攻撃する意思が有るか無いかをアオサギは敏感に察知するような気がします。
何時かTVで、いつもライオンに襲われるシマウマが、ライオンを横目に見て通り過ぎる場面をみました。ライオンが満腹なので襲う事は無いと察知しているようでした。

オジロワシとアオサギの同じような場面を数年前の4月の札幌市内のモエレ沼で写真に撮ったことがあります。
この場合のオジロワシとアオサギの心の内は分かりませんが、もしかしたら年老いたオジロワシを血気盛んなアオサギが軽視していた?とも思えました。でも本当のところは分かりません。
Re: 冬ねぐら投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/12/10(Wed) 17:47No.1147
カラスさん、すごいカットですね。関心を持ち続ける事の大切さを教えられました。

なかなか撮ろうと思っても撮れない写真です。

確かにアオサギはパワフルでオジロワシは圧倒されているように見えますね。
Re: 冬ねぐら投稿者:カラス投稿日:2008/12/11(Thu) 15:23No.1148
エゾミユギゲラさん、こんにちは。
レスありがとうございます。
仰る通りオジロワシとアオサギが5㍍ほどの距離にいる場面を写真に撮ることは稀かもしれません。この場合は、たまたま氷上のオジロワシを望遠レンズで捉えていたところへ、アオサギが飛んで来たというタイミングでした。氷に閉じ込められた魚を狙いに来たと思います。

オジロワシが満腹なら、もう少し寛げる場所で休むのではないかと想像し、オジロワシの目の何と無く年老いた雰囲気と、アオサギの動作の力強さから「年老いたワシを甘く見る血気盛んなアオサギ」という想像したというわけでした。
アオサギの幼鳥?発見投稿者:福島大学に通うまこちゃん投稿日:2008/11/16(Sun) 22:51No.1140

 久しぶりの投稿です。
 福島大学の大学祭の日に、調整池に行ってみたら、久しぶりにアオサギをみました。

 でも、どうも大きさが一回り小さい。
 気長に見ていたら、捕食の瞬間をみました。ラッキー。
 幼鳥でしょうか。とすれば、留鳥で、福島近在で繁殖していると考えられます。

 そうすると、分布のメッシュから考えて会津から山を超えてきたというよりも、宮城県角田付近の分布地域から阿武隈川を川沿いに遡ってきた集団かしら?
 と考えてみましたが。

Re: アオサギの幼鳥?発見投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/11/17(Mon) 06:26No.1141
まこさん、お久しぶりです。
大きさが違うというのはちょっと怪しいですね。アオサギの場合、巣立ちを迎える頃には幼鳥は成鳥と同じ大きさになっていますから。巣立ち直前の幼鳥は体重だけでいうと親よりも重いくらいです。彼らはコロニーを離れてしまえば親も子もなく、成鳥も幼鳥も同じ土俵の上で生きていかなければなりません。なので、幼鳥も成鳥と同じ体格をそなえている必要があるのです。ただでさえ経験不足でうまく餌が獲れない幼鳥が、体もひとまわり小さいとなればたぶん生きてはゆかれないでしょう。
ただ、幼鳥はくすんだ色なので白っぽい成鳥に比べて小さく見えることはあります。それに、個体により痩せている太っているの違いもありますしね。

もし、まこさんが目撃されたのがアオサギの幼鳥だったとしても、それが近くで生まれた個体かどうかは分かりません。幼鳥だからといって近距離しか移動できないということはないですから。もうこの時期なら、日本生まれの幼鳥が東南アジアのどこかにいてもおかしくありませんよ。
Re: アオサギの幼鳥?発見投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/11/19(Wed) 10:21No.1142
まこさんこんにちは。
ご覧になった幼鳥はこんな様子だと思います。

アオサギも渡りのシーズンを終えて、越冬地に落ち着いている頃と思います。繁殖期のコロニーからの束縛から解放されて、かなりの範囲に移動していると思いますよ。

北海道では夏に1万羽ほどいたアオサギが今は数十羽になっているわけですから、何処かで増えている地域がある筈ですね。

福島あたりでは、気候的には十分に越冬できるでしょうが、餌のほうは夏より多くのアオサギを受け入れられるかどうかですね。
夏と冬どちらがアオサギを多く見られますか?
静内川に行ってきました投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/11/10(Mon) 20:00No.1138

アオサギの越冬地を見てこようと、10月29日に静内川に行ってきました。20羽ほどが確認できました。

オオダイサギが5羽ほど来ていました。アオサギと並ぶと一回り大きく見えます。道北では殆ど見かけないので珍しく見とれておりましたが、翌日ウトナイ湖に行ってみると、30羽も来ており驚きました。

写真は静内川のものです。

Re: 静内川に行ってきました投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/11/11(Tue) 00:18No.1139
エゾミユビゲラさん、こんばんは。
アオサギが首をすくめて佇んでいる姿、この季節にはいっそう寒々しく見えます。オオダイサギも同じような格好ですが、アオサギのほうが寒そうに見えるのは私だけでしょうか?

静内川でアオサギが越冬しているという話を聞くようになってもう10年くらい経つのではないかと思います。たしか2001年だったと思いますが、静内付近を調査したときに、毎年20羽くらいが越冬しているという話を聞いたことがあります。ただ、あれから越冬個体が多くなったという話は聞きません。江別で冬を越しているアオサギも多くて30羽くらいで、年によりそれより少なくなることはあってもそれ以上にはならないようです。道内で数十羽単位の群れが越冬しているところといえば、あとは十勝川くらいでしょうか。以前ここは100羽近くのアオサギが真冬に確認されたことがありましたが、その後アオサギの越冬が話題にならないところを見ると、その年だけの特別な出来事だったのかもしれません。きちんとした調査をしたわけではないので確かなことは分かりませんが、少なくともここ十年くらいは道内で越冬するアオサギの個体数に大きな変化はないように思います。

オオダイサギ、こちらはどうも増えているようです。何年か前、ウトナイ湖の北にある長都沼で6羽だか7羽だか見かけたことがありますが、30羽ともなるとこれはふとした気まぐれで飛んできたというのでは済まされそうもないですね。今後の動向に要注意です。
オオアオサギ裁判投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/10/30(Thu) 00:31No.1135

オオアオサギは、北・中米に生息するアオサギよりひとまわり大きなサギです。アオサギにごく近縁なので、この掲示板でもじつはたびたび登場しています。

そのオオアオサギがここ2年ばかりカナダで論争の的になっていました。ある企業がオオアオサギのコロニーを破壊したことで訴えられたのです。訴えられたのはJ.D.アーヴィング社という製紙業を主とする巨大企業。事件が起こったのは2006年7月で、J.D.アーヴィング社が自社敷地内の森に作業道を敷設する際、コロニーの一部(8巣)を破壊したことが問題となったのでした。これにより、J.D.アーヴィング社は渡り鳥協定法(Migratory Birds Convention Act)違反の容疑で裁かれることになります。この渡り鳥協定法というのはオオアオサギなどの渡り鳥を保護するために制定されたもので、この法律を犯すと最高100万ドルの罰金ないし3年の禁固刑が科せられます。今回の裁判では行為が故意であったかどうかをはじめ、法の執行権をもつのが国なのか州なのか、さらにはこの法が合憲か違憲といったことが争点となった模様です。故意かどうかというのはこのケースだけの問題ですが、他の問題は同様の事案に大きく影響してくるので事は重大。もしJ.D.アーヴィング社の主張が通るようだと、カナダの渡り鳥の生存を保証する法的な裏付けが何も無くなってしまう、そんな危機的な事態だったのです。結果として、この裁判はカナダ国内の森林施業に関わる企業や自然保護に携わる人々の間で大いに注目を集めることとなりました。

つい先日、この裁判にようやく決着がつきました。J.D.アーヴィング社は有罪となり、6万ドルの罰金が科せられました。6万ドルという額が多いか少ないかは別として、今回の件で法の強制力が実際に発動されたということは極めて重要な意味をもつものだったようです。この判決を受けて、カナダの環境大臣は「野生生物の保護は政府にとって最優先事項である」と言い切っています。何の背景も無いところで一般論として言ったのならともかく、開発か環境かという白黒をつけざるを得ない論争を受けてのものですからこれは重い発言だと思います。ついでに、この環境大臣はオオアオサギは国の宝だとも言っています。なお、今回の判決によると、罰金6万ドルのうちの5万ドルはBird Studies Canadaという野鳥の研究や保護を行っている非営利団体に寄贈されるということです。これは粋な計らいですね。
さて、これが日本ならどういう展開になるのでしょう。少なくとも日本の環境大臣が「アオサギは国の宝」と言うことはないと思いますが…。

それから、今回、いろいろ報道されるものを見て新鮮に思えたのは、日本で鳥の保護が言及されるときに必ず持ち上がる希少性の問題にどの記事もほとんど触れていなかったことです。オオアオサギの個体数は十数万羽で絶滅が心配されるほどの少なさではなく、いわゆる希少種ではありません。なので、希少性云々の話が出ないのはもっともなことではあります。けれども、希少種でないにもかかわらず保護の問題が当然のように取り上げられ、論争を巻き起こしているという状況を見ると、野生生物に対する視点が日本とカナダでかなり違っていることを痛烈に感じざるを得ません。数が少なく絶滅の恐れがある鳥を保護するのは当然のことで、それは日本でもカナダでも一緒でしょう。しかし、日本では、希少という言葉に囚われすぎ、普通に生きている種を蔑ろにする風潮が多分にあるように思えるのです。特殊な状況にある種についてはそれなりの対応を考えなければならないのは分かりますが、まずは普通種だろうが希少種だろうが分け隔てをしないことが大前提です。今回の件は、そのことを再認識するための貴重な事例になったのではないでしょうか。

今回の出来事の詳細は、"irving"や"great blue heron"で検索するといくらでも調べられます。その中で、事の発端から結末までもっとも詳しく書いているcbc newsの記事を以下に日付順に並べてみました。興味のある方はご覧になって下さい。

060927 Logging road disrupts colony of protected herons
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2006/09/27/nb-heronnests.html

060928 Irving foreman saw herons, documents suggest
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2006/09/28/nb-heronwarrants.html

060929 Heron colony will be protected: J.D. Irving
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2006/09/29/nb-loggingclose.html

070205 J.D. Irving Ltd. pleads not guilty to disrupting Great Blue Heron colony
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2007/02/05/nb-irvingheron.html

080310 Irving launches constitutional challenge of migratory birds act
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/03/10/irving-herons.html

080325 J.D. Irving hopes to have federal bird protection law struck down
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/03/25/migratory-birds.html

080325 'Nothing left' if Irving case succeeds, says conservation group
http://www.cbc.ca/canada/prince-edward-island/story/2008/03/25/irving-birds.html

080328 N.B. judge to rule in June on constitutionality of federal bird act
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/03/28/heron-hearing.html

080609 J.D. Irving loses court challenge over heron nests
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/06/09/nb-irving-birds.html

081020 J.D. Irving fined $60,000, pleads guilty to destroying heron nests
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/10/20/nb-heron-irving.html

081021 J.D. Irving Ltd. donation to help fund bird atlas
http://www.cbc.ca/canada/new-brunswick/story/2008/10/21/nb-heron-nests-irving.html

Re: オオアオサギ裁判投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/10/31(Fri) 20:10No.1136
カナダでのオオアオサギの裁判の話、興味深く読ませていただきました。「オオアオサギは国の宝だという」カナダの環境大臣と多数のアオサギが駆除されている日本とは大きな違いがありますね。

普通種であるという状態が実は理想的な姿であると思います。
いつまでも普通種であることを守って行くことこそ大切な事ではないでしょうか。普通種に対してどういう態度で接するかで国民性が問われるのではないでしょうか。

トキやコウノトリの保護が成功して普通種になったら、駆除に走るのでしょうかね?

先日の記事で「アオサギの駆除数」のグラフを示していただきましたが、私も環境省のホームページからその数字を見たいと試みましたが辿り着けませんでした。

お手数ですが、環境省のホームページからどう言う順で辿ればアオサギの駆除数を見る事ができるかお教えいただければありがたいのですが・・・。
Re: オオアオサギ裁判投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/11/01(Sat) 00:09No.1137
エゾミユビゲラさん、こんばんは。
普通種であることが理想の状態、まさにその通りだと思います。けれども、人間は普通種でなくなってからでないとその尊さに気付かないんですね。

今回の裁判で争点となった「渡り鳥協定法」というのは、1916年にアメリカとイギリスで締結された「渡り鳥協定」に基づいて、その翌年カナダで作られたものです。ところで、その2年前の1914年は、鳥に対する人間の影響を考える上で忘れてはならない年です。シンシナティ動物園で最後の1羽となったリョコウバトが死んだ年なのです。18世紀には50億羽がいたと言われるリョコウバトも、地球上からすっかり消えてしまうまでたった数十年しかかかりませんでした。「渡り鳥協定」は環境に関する国際的な取り決めとしては世界で最も古いもののひとつと言われますが、これがリョコウバトに対する人類の壮大な愚行を反省してのものであることは間違いないでしょう。
それにしても50億でさえ0になるのですから、百数十万ていどのアオサギが絶滅しない保証はどこにもないということですね。

駆除のことで参考にした環境省のサイトですが、以下のページから年度別のページに入れます。
http://www.sizenken.biodic.go.jp/wildbird/flash/toukei/07toukei.html
環境省のサイトのトップページからここまで辿り着くのは容易でないと思います。役所のサイトというのはどうしてこうも分かりにくいのでしょうね。単にコンテンツが多いだけの問題ではないように思えるのですが。私の場合はページをひとつひとつ辿らずに、キーワードを検索して該当ページを直接探したように思います。たとえば、「有害鳥獣」、「環境省」、「統計」という3つのキーワードを間にスペースを入れて一緒に検索すると、目的のページのひとつが検索結果のトップに表示されます。もし、環境省のトップページから入りたければ、「生物多様性センター」⇒「インターネット自然研究所」⇒「野生鳥獣との共生」⇒「鳥獣関係統計」の順に進めば上のURLのページに来れるようです。
行く先は?投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/30(Tue) 20:01No.1117

メールで、アオサギは東南アジアに渡るのかという質問をいただきました。答えから先に言うと渡ります。
今ちょうど渡りの季節なので、アオサギがどこからどこまで移動しているのか、少しここでも見てみたいと思います。とは言うものの、国内でのアオサギの捕獲や標識例は非常に少なく、いま手元にある資料から全部書き出しても左の図に示したくらいしかありません(同じ県内での短距離移動は省いています)。おそらく、アオサギはなかなか捕まえられないということなのでしょう。

さて、初めに書いた東南アジアというのはじつはベトナムのことです。春に山口県で標識されたアオサギが、その年の冬、ベトナムで見つかっているのです。ただ、これもたった1例に過ぎません。
他に海外との行き来ということでは、ロシア極東で標識されたアオサギが福岡や千葉で見つかった例があります。ロシア極東のアオサギは東南アジアのほうへ向かう場合もあるようですが、一部はこうして日本へ来ているということですね。

国内で面白いのは、富山で標識されたアオサギの越冬地がてんでばらばらなこと。富山での標識は戦前の1936年から1940年にかけて行われています。これは当時の農林省山林局の「標識鳥回収一覧」という資料なのですが、標識の記録があるのは全て保内村(たぶん現在は富山市の一部)、おそらく同じコロニーで毎年捕獲していたものと思われます。それが秋から冬にかけて、東は千葉、西は香川まで、あっちこっちで見つかっているのです。これはなかなか面白い結果だと思いませんか。たとえ同じコロニーでひと夏を過ごしても、秋になれば各々好き勝手に?分かれて飛んでいく、この自由な雰囲気が何ともいいですね。

Re: 行く先は?投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/10/18(Sat) 22:14No.1134
この前、日本周辺での渡りルートについて書いたので、今回はもっと広い地域での渡りがどうなっているのか書いてみます。左の図はユーラシア、アフリカ地域での渡りルートを示したものです。もっとも、オーストラリアや南北アメリカ大陸にはアオサギは生息しないので、図に示したのがアオサギの全生息域ということになります。
図では繁殖地と越冬地、および留鳥として生息する地域を色分けで示しています。この区分は"The Herons"(2005年 J.A.Kushlan and J.A.Hancock著)に載っていたものです。また、赤の矢印で示した渡りルートは"The Herons Handbook"(1984年 J.A.Hancock and J.A.Kushlan著)から引用しました。渡りルートのほうは20年以上前の古い情報なので、現在生息していない地域から矢印が伸びているといったちょっと変なところもあります。

さて、ご覧になっていかがでしょうか。ずいぶん長い距離を渡っているのが分かるかと思います。ロシア西部で繁殖した個体は、地中海とサハラ砂漠を越えてはるばる西アフリカまで南下しています。前回、日本周辺の渡りルートについて紹介したとき、山口からベトナムというかなり長距離の移動がありましたが、世界を見渡せばそれ以上に長い渡りがいくらでもあるということですね。さすがはアオサギです。

以下は余談です。鳥だからこのくらい移動するのは当たり前と言ってしまえばそれまでですが、やはりこれは大変なことです。人は飛行機でも使わなければこんなことはできません。人が自分の力だけで移動できる距離などごくわずか。鳥から見れば人などほとんど移動力のない可哀想な生き物かもしれません。どこにでも飛んでいける鳥を人が自由の象徴だと考えるのも当然ですね。彼らはそのつもりさえあれば世界を一周でも二周でも自力で旅することも可能でしょうから。人が地球規模で動き回れるようになったことでようやく気付きはじめたたことを、たぶん彼らはずっと前から知っていたのでしょうね。
渡りの季節ですね。投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/11(Thu) 21:59No.1111

朝晩がめっきり涼しくなりました。渡りに向けそわそわしているアオサギも多いことでしょう。これが初めての大旅行となる今年生まれの幼鳥たちも、いつもと違う何か特別な雰囲気を感じているかもしれませんね。

それにしても、幼鳥がコロニーを離れたのはつい最近のこと。早く巣立ったところでもふた月あまり、遅いところはまだひと月ほどしか経っていません。彼らの餌採りの下手さ加減を目にすると、あんなので大丈夫なんだろうかと心配になります。実際、幼鳥にとって自力で十分な餌を獲るというのは想像以上に難しいことのようです。たとえばアメリカのオオアオサギでは、幼鳥の40-70%はコロニーを出て55日目までに死亡するのだとか(Erwin et al. 1996)。これはそうとう厳しい世界ですね。ただ、死亡率のピークは巣立ち直後で、その後は徐々に減少するはずです。今の時期まで生き延びられれば、餓死する確率はかなり少なくなっているかもしれません。

しかし、そうは言っても時期が遅くなれば遅くなるほど餌の量は乏しくなるはず。適当なところで覚悟を決めなければ南に向かう便に乗りそびれてしまいます。体の準備が整うのを待ちつつ、一方で餌があまり少なくならないうちに適切な時期を選んで渡らなければならないのです。彼らが自分の出発すべき時期を正しく見極められるかどうかは、もしかすると渡りそのものより重大事なのかもしれません。

Re: 渡りの季節ですね。投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/10/07(Tue) 21:19No.1130
10年前ほどから観察をしておりますが、温暖化の影響か旭川周辺ではここ数年だんだん渡る日が遅くなっておりました。

10年前は10月10日前後に渡っていたのが、ここ2~3年は10月末頃になっておりました。

ところが今年は昨日10月6日、すでに石狩川から姿を消しておりました。理由は分かりませんが、札幌近辺ではどうでしょうか?
Re: 渡りの季節ですね。投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/10/10(Fri) 00:53No.1131
札幌近辺ではどうなのでしょう。じつは私もよく知らないのです。春の渡りはもともといないところに突然現れるので分かりやすいですが、秋のほうは注意して見ていないこともあり、どういう状況になっているのかとんと見当がつきません。

ともかく、秋の渡りというのは謎だらけなので、エゾミユビゲラさんの観察で渡去時期が遅くなっているというのはとても興味深いです。しかも、10年で20日というのはそうとう急激な変化ではないでしょうか。何が起こっているのでしょうね。遅い時期まで十分な餌があるように変わってきたのでしょうか? かと思えば、去年と今年で20日以上も逆に早くなっているというのもこれまた不思議ですが。

気候変動と渡りの時期については、近年、さかんに研究されており、気温の上昇にともなって春の渡り時期や産卵時期が早くなったことがいろいろな鳥で報告されています。一方、秋の渡りはというと、こちらはあまり精力的には研究されていないようです。やはり、秋は春にくらべると渡りの期間が長いですし、渡る場所もコロニーからではなく分散先からなので、記録を取ること自体が難しいのでしょう。私も札幌付近のアオサギがどこから旅立っているのかいまだに知りません。

春の渡りには、その先に繁殖という大きな目標があります。そして、その目標を達成しようとするなら、繁殖地に少しでも早く着いたほうが有利です。というのは、他の個体より早く着けば、子育てをするのに良い場所を確保し良い配偶相手を見つけられるからで、結果的に多くの子孫を残せる可能性が高くなるからです。なので、温暖化によって繁殖地に春が早く訪れるようになれば、その分だけ早めに渡って来るというのは理にかなっています。

ところが、秋のほうはというと、餌がなくなるため餌の豊富な土地に仕方なく移動するのであって、春にくらべればずいぶん消極的な理由です。春と秋、同じ渡りとはいってもその内実はずいぶん違うわけです。おそらく、渡りのタイミングを計るアオサギの真剣さの度合いは、両季節でかなり違っているのではないでしょうか。もっとも、秋の渡りも早く渡ったほうが有利な面(餌場の縄張りなど)もあるにはありますが、春のそれに比べればそれほど切実なものとは言えないと思います。

他の鳥の場合、温暖化によって秋の渡りが早くなるものもいれば遅くなるものもいるそうです。それぞれの鳥がそれぞれ独自の習性をもっていますから、温暖化の影響の仕方も様々だということですね。これが春だと、繁殖というどの種も一様にもっている強い動機に引っ張られて、温暖化に対応する行動パターンも似通ったものになりがちですが、秋だとそういう強い動機付けがないので、種による習性の違いとかそういうことが前面に出てしまうのでしょう。

ともかく、秋は春にくらべて渡去のタイミングの取り方がルーズだとは言えると思います。秋に温暖化の影響がどのていど効いてくるのかは分かりませんが、いつ渡るかというタイミングは、温暖化で生じた変化よりもむしろもっと至近な環境要因(たとえば、その年その地域での一時的な餌資源量の変動、あるいは人為的な攪乱など)によって決定される部分が大きいのではないかと思うのです。そして、これら至近要因に不確定要素が多く含まれることが、秋の渡りのタイミングをさらに予測不可能なものにしているように思います。
ただ、1年で20日も変わる渡去日をそれで説明できるかと言えば自信はありませんが…。
Re: 渡りの季節ですね。投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/10/10(Fri) 21:58No.1132
分散してしまったアオサギがいつ渡ったかを特定することは困難ですね。旭川の場合は雛の巣立ち後、石狩川の近文あたりの中洲に次第に集結し、だんだん数を増して、渡りの寸前に最大となります。

そして通常、大雪山に冠雪が見られると間も無く一夜にして(夜渡ると言うわけではありませんが)姿を消すので、いつというのがはっきりしているのです。

ここ10年を見るとだんだん時期が遅くなる傾向にあるのですが、今年の場合は護岸工事が行われており、その影響がどの程度あるのかはっきりしないため、他の地域のことが知りたかったと言うわけです。
Re: 渡りの季節ですね。投稿者:カラス投稿日:2008/10/14(Tue) 05:52No.1133
エゾミユビゲラさん。いつも興味深い情報を楽しみにしています。
白鳥が夜もわたる事が知られていますので、もしかしたらアオサギも夜間の良い天候を選んで渡ることも有りのような気がします。どうなんでしょうね。

白鳥の場合は、鳴きながら飛ぶことが多いようで、午後9時から10時頃に上空からの声を聞いたことが何度かあります。アオサギの場合は群れて飛んでいても連続して鳴いたりしないかも知れないので、夜の渡りに気が付かれないことも想像するのです。
普通でない獲物投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/10/02(Thu) 22:33No.1126

アオサギは大食漢だとよく言われます。確かに、体重の6分の1くらいの餌を毎日食べているようですから、我々人間を基準に考えると分量的には質素な食生活とは言い難いかと思います。けれども、大食漢だというイメージは、実際に食べる量というよりは、むしろ体の大きさのわりに大きな獲物をよく捕まえることから来ているように思うのです。そういう現場を一度でも見てしまうと、とんでもない大食いだと思われるのは仕方のないことかもしれません。

アオサギの餌として最もポピュラーなのは魚です。けれども、魚しか食べないわけではなく、機会さえあれば魚以外にもじつに様々な生き物を獲っているのです。たとえば、ザリガニやカエル、貝、ヘビ、昆虫などです。さらには、水鳥のヒナを狙うこともありますし、日常的にネズミを食べることもあるようです。喉を通る大きさのものなら何でもお構いなしといったところでしょうか。

次の新聞記事にはまさにそういう場面が載っています。イギリスの新聞「Telegraph」の記事で、アオサギが仔ウサギを捕食するシーンです。新聞としては興味本位で見られることを想定して載せたのだと思いますが、これは写真記録としてとても貴重なものだと思います。ただ、これからもアオサギに上品なイメージを持ち続けたい方やウサギが大好きな方は見ない方が良いかもしれません。
http://www.telegraph.co.uk/earth/main.jhtml?xml=/earth/2008/09/29/eaheron129.xml

Re: 普通でない獲物投稿者:カラス投稿日:2008/10/03(Fri) 16:15No.1127
欧米からの情報を得る窓口として、アオサギを議論するサイトは私にとっても貴重です。
兎を捕って飲み込むのは驚きでした。アオサギは魚や昆虫を捕る水鳥のイメージから蛇と猛禽類の能力を併せ持つものになりました。猛禽類と違うのは、嘴で獲物を裂くことは出来ないので、丸呑み出来る大きさの条件の違いでしょうか。
視覚的にも興味ある情報を有難うございました。
Re: 普通でない獲物投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/10/03(Fri) 21:42No.1128
カラスさん、こんばんは。
アオサギのハンターとしての能力はすでに猛禽より上だと思いますから、もしもアオサギに獲物を裂く能力が備わったとしたら…、これは恐るべき怪鳥になりそうですね。

さて、紹介した記事の内容についてもう少し書き加えておきます。写真はオランダで撮られたものだそうです。アオサギを撮影しているところに、穴からウサギが出てきて、それを見たアオサギが抜き足差し足で忍び寄り…、あとは写真のとおり。その後、アオサギはウサギをくわえたまま近くの水辺に飛んでいったそうです。2枚目以下の写真はその水辺で起こったことです。

この記事で興味深いのは、アオサギがウサギを水の中に浸けたという部分。アオサギは魚を獲ったときも同じように水に浸します。なぜそのようにするのかはよく分かりません。ただ、今回の場合、その行動には実際的な意味があったようです。記事には、ウサギを30秒ほど水に浸けていたとあります。そのあと水から引き上げるとウサギがまだ少し動いていたので、さらにもう一度水に浸し、完全に動かなくなってから呑み込んだそうです。つまり、このアオサギはウサギを意識的に窒息死させたようなのです。

何でも丸呑みするアオサギですが、ぴちぴちばたばた動き回っている獲物はそのままの状態ではさすがに呑み込みません。小さな餌は別として、ある程度の大きさになると、完全に死なないまでも振り回したり突き刺したりして弱らせてから呑むのが普通です。ところが、ウサギともなると振り回すには少し大きすぎます。突き刺すにしても、いったん地面に置かなければならず、もしそんなことをすればウサギのほうもじっとしてはいないでしょう。こう考えると、溺死させるというのは、見た目には残酷なやり方ですが、大きな獲物を捕らえたアオサギにとっては、それが獲物を仕留める唯一の方法だったのかなと思います。
Re: 普通でない獲物投稿者:カラス投稿日:2008/10/04(Sat) 08:42No.1129
どういう状況で大きな獲物を仕留めて、息の根を止めたかの行動は興味を倍加させました。
鮮明な画像から、気になっていたアオサギの顎の構造を思いました。
アオサギの上下の嘴が平行に離れている様子で、顎の支点がスライドするか或いは2つある可能性をおもいました。構造を知ることが出来る日が楽しみに加わりました。

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