左のグラフ、何だか分かりますか? (クリックで拡大されます)
これ、アオサギの駆除数の年変化を示したものなのです。環境省のホームページに数値が載っていたのでグラフにしてみました。縦軸の駆除数が千羽を軽く超えています。最近、駆除の話をよく聞くので、数百羽規模になるとは思っていましたが、これほどひどいとは予想してませんでした。その上、このグラフはきれいに右肩上がりです。環境省の資料は2005年度までだったのでそれ以降のことは分かりませんが、現在、駆除数がどのくらいまで増えているのかを想像すると恐ろしくなります。
もう少しこのグラフについて説明すると、この駆除数は国が許可した駆除と都道府県が許可した駆除を合計したものになっています。2000年以降は新しい鳥獣保護法に変わり、駆除の許可権限が国から都道府県に移譲されています。なので、その後は国のものはなく都道府県が許可した駆除数のみになっています。ただ、この辺がよく分からないのですが、改正以前は国の許可だけかと思ったら都道府県でも別に許可しているようです。98年と99年がそうなのですが、その部分は合算しています。なお、最初の2年(96年と97年)については国が許可したものしか載っていなかったので、もし当時も都道府県の許可が98年、99年と同様にあったとすれば値はもう少し高くなるはずです。
ともかく、こんなに多くのアオサギが毎年毎年殺されているわけです。アオサギの個体数も増えていることは間違いないと思いますが、全国レベルで見れば一年単位でこれほど大幅な増加はないはず。それに比べて駆除数の増加はどうみても異常です。とくに、鳥獣保護法が新しくなって以来、堰を切ったように駆除数が増加しています。この状況の変化は蔑ろにはできません。慣用的に法の改正とは言いますが、これはアオサギにとってはとんでもない改悪です。アオサギだけでなくほとんどの野生鳥獣にとって大きな災難だと思います。改悪だという話はよく耳にしていましたが、こうしてグラフにすると一目瞭然ですね。
改正により、許認可の権限が国から地方に移り手続きが簡素化されたことは確かです。これについては良い面悪い面の両方があると思います。ただ、これは本質的なことではないのでここでは話題にしません。私が怖れるのは、許認可の裁量を地方の自治体が独自に行うようになったことで、無意味な駆除が増えたのではないかということです。国が完璧な判断をして、地方はいい加減な判断しか下せないとは思いません。しかし、各自治体がすべて的確な判断をしているかと言えばそうではないと思います。ウェブ上を見渡すだけでも、有害鳥獣駆除関係の審議会や委員会の議事録に数多く目を通すことができますが、その内容は自治体によって千差万別。ちゃんとした理念のもとにきちんと整備された指針をもっている自治体もあれば、根拠のない数値をもとに虚しい結論しか出せない自治体もあります。後者のような自治体が駆除の許可にあったって正しい判断を下せるとは私には思えません。法の改正前に国がどれだけまともな裁量を行っていたかは私は知りません。けれども、その後の駆除数の急激な増加を見る限り、少なくとも国のほうが許可するにあたって慎重だったとは思うのです。
これまで何度も書いてきましたが、我々が人間であり自らの生命を守ることを第一に考えなければならない以上、アオサギの駆除がどうしても必要なケースがあるのを私は否定しません。しかし、いま行われている駆除のうちどれだけが本当に必要な駆除なのでしょう? 慎重に判断すれば避けられた無意味な殺生が無数にあるのではないでしょうか。駆除数を増やしたからといって問題が簡単に解決できないことはこれまでに無数の例証が示しています。それなのに、このグラフはいったい何なのでしょう? 野生生物と人間との関係を考えるとき、共存、共生という理念が好んで用いられますが、そうした理想とは裏腹に、現実には少しずつ間違った方向へバランスを崩しつつある一面もある、そのことを我々はいま一度認識し直すべきなのかもしれません。
Re: 無題投稿者:カラス投稿日:2008/09/22(Mon) 18:54No.1114統計数字をグラフ化すると、流れが視覚的に端的に分かります。
なぜアオサギを駆除しなければならないのか、部分的な事情は分かりませんが、全体的な視点がいま必要な事を思いました。
貴重な情報を有難うございました。Re: 無題投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/09/22(Mon) 22:24No.1115当サイトでの、北海道におけるアオサギの個体数は約7000羽との推測でした。それに対して、年間1200羽以上のアオサギが駆除されているとするなら、とんでもない数ではないでしょうか?
一つしかない地球で、人間以外の動物も棲んでいる訳ですから、多少の不都合はあるのが当然ですが、アオサギが基本的に人間にとって害になる鳥とは思えません。
勝手に空気まで売り買いしている一部の人間こそ不条理極まりないと思います。
アオサギの駆除に対して許認可を与えている組織なりが、どれほどアオサギの事を知っているのでしょうか?
この問題に対して、何らかの抗議を起こす方法はないのでしょうか?
あるいはメディアに取り上げてもらうことはできないものでしょうか?Re: 無題投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/24(Wed) 21:10No.1116皆さんお察しのとおりこれは深刻な問題です。とても放ってはおけない状況ですし、議論するだけでなく何らかの行動が必要な時期に来ていると思います。
このような事態が生じた原因はふたつあります。ひとつはアオサギの個体数が増え、ヒトとアオサギの軋轢が増したこと、もうひとつは鳥獣保護法が改定されたことです。このうち前者で問題なのは、多くのケースで、極めて安易に駆除が計画され、無意味な殺生が行われていることです。この状況は一刻も早く改善されなければなりません。ただ、どう改善していくかという部分を書き始めると止めどなくなってしまいそうなので、これについてはもう少し頭が整理できてからあらためて書きたいと思います。
一方、鳥獣保護法のほうですが、この改定が無意味な駆除の一因となったのは否定できないと思います。環境省も改定によって何が変わるかは法律をつくる段階で分かっていたはず。不幸にもこのような状況になったことをどう考えるのか、これについては環境省のほうに一度問い合わせてみたいと思います。回答があればここでもご報告します。
それと、エゾミユビゲラさんが触れられていた北海道の状況について。私は北海道のアオサギ個体数は大雑把に1万羽くらいだと考えています。巣の数が4500程度なので、ペアで倍になるとして9000羽。繁殖に参加していない個体もいることを考えると、根拠はありませんが一割くらい増して1万くらいかなと思います。エゾミユビゲラさんが書かれていた7000羽というのは、全道調査を行っている途中の2002年に出した暫定的な数値なので、今は1万羽というほうが実際の値に近いでしょう。ただし、この値も2001年から2004年までの調査結果に基づいたものなので、現在は多少前後しているかもしれません。
で、肝心な駆除数です。こちらは北海道では全国的な傾向とは異なっており、それほど増えてはいません。1998年以降の駆除数は、9羽、1羽、27羽、25羽、16羽、11羽、32羽、25羽となっています。2000年の鳥獣保護法の改定後に増えていますが、全国でのようにその後も増え続けるということはなく、10羽から30羽程度の間で経過しています。私の記憶が正しければ、現在、北海道でアオサギを駆除しているところは十勝の養魚場1ヶ所です。つまり、上の数値はその養魚場での駆除数がそのまま示されたものだと思います。ついでに言うと、以前、ここの養魚業者と許可に関わった十勝支庁の担当者双方に話を伺ったことがありますが、惰性で毎年駆除が行われているといった状況で、問題の根本的な解決にはなっていません。
それはさておき、こと駆除数に関して言えば、北海道のそれがとくに多いというわけではありません。むしろアオサギの生息密度を考慮すれば全国平均に比べてかなり少ないと言えると思います。これは注目すべきことです。
では、どのような地域で駆除が行われているのでしょうか。左の図は、アオサギと人との摩擦が新聞やテレビに取り上げられた箇所を示したものです。プロットしたのは2002年以降に私がたまたま見つけたものだけです。したがって、これで全部というわけではなく、実際はここに示した数よりかなり多いと思われます。というわけで、この図は概観ていどのものとして見て下さい。図の赤丸は駆除を行ったところ、青丸はトラブルはあるもののとりあえず様子見というところです。
ここで気になるのは駆除を行った地点(赤丸)が日本の中央部に集中していることです。これは何を意味しているのでしょうか? 私はこの分布はカワウの被害が多い地域と重なっているような気がします。カワウを駆除するのが当たり前の環境で、さらにそこにアオサギの被害が加われば、「アオサギよ、お前もか!」ということになって、深く考えもせず駆除に至っているのではないかというのが私の推測です。そういう地域では被害から駆除に至るまでの一連の意志決定が、悪い意味でスムーズにできるようになっていると思うのです。どうにも仕方のない状況下で行う消極的な行為であった駆除が、被害があれば当然行うべき積極的な行為として正当化される、そうした意識環境の変化が着実に起こっているような気がします。この点、北海道も含めてカワウの被害がほとんどない地域では、アオサギの被害と駆除の考え方に対してもう少し謙虚なのではと思うのです。
明日、佐渡のトキが自然放鳥されるそうです。絶滅しそうになったら大慌てで保護し、個体数が増えれば簡単に殺してしまう、トキやアオサギに限らずそれが現在の野生生物を取り巻く風潮です。
全国でアオサギがどれだけいるのか私は知りません。そもそもアオサギの個体数を数えている地域はごく稀なので、正確な数値どころか大雑把な値さえ誰も示せないはずです。どれだけ生息しているかということさえ分かっていないのに、増えているからということで簡単に駆除している今の状況はとても危険なことだと私は思います。
ちょっと古い話ですが、19世紀、ヨーロッパの女性はサギの羽で自らを飾り立てていました。その羽を得るために、南米のあるひとつの国だけで1年に150万羽ものサギを殺していたといいます。いま考えるととんでもないことに思えますが、それは果たして当時の人々が野蛮だったから、無知だったから、あるいは価値観が違っていたから起こったことなのでしょうか。私は当時と比べてそれほど人間が成長しているとは思えません。人間が自然や野生生物をコントロールできるのだと根底のところで信じている限り、同じような過ちは何度でも繰り返されると思います。そこまで極端ではなくとも、今後、アオサギがその犠牲にならない保証はどこにもないと思うのです。
書く時期を少々逃してしまいましたが、写真は北海道江別市のコロニーで6月上旬に生まれた3羽のヒナです。この写真を撮ったのは8月2日で、この6日後には1羽が時折巣に戻るだけになっていました。よほどのことがない限り、ここまで成長したヒナを親が見捨てることはないので、たぶん他の2羽のヒナも無事巣立ったものと思います。
このコロニーでは、この3羽のヒナの巣立ちとともにアオサギの繁殖シーズンは終了しました。3月半ばにコロニーに初飛来して以来、終わってみればあっという間の5ヶ月弱でした。
Re: 最後の3羽投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/02(Tue) 20:42No.1105ところで、このヒナたちが生まれたのは6月上旬のこと。北海道では、山間部を除けば繁殖を成功させるためにはこのくらいが時期的にはぎりぎりです。これ以降でも親は卵を産みますしヒナも生まれますが、周りのヒナたちが次々に巣立ってコロニーが淋しくなるにつれ、遅く繁殖を始めたところはことごとく失敗するのが常です。
遅いとなぜ失敗するのかはよく分かりません。もしかすると、親がこの時期にこの成長段階では間に合わないと見切りをつけるのかもしれません。この時期のヒナはまだ小さいので、子育てを行うには巣にいてヒナを保護する親と餌を採りにいく親の両方が揃っている必要があります。つまり、両親のうち片方でも諦めるとそこで終わりということになります。
では、仮に親が自発的に子育てを放棄するのだとして、何が彼らにもうダメだという気を起こさせるのでしょう? そもそも自発的な放棄かどうかも分からないので、推測の上に推測を重ねることになりますが、私はコロニーの雰囲気が変わることが原因ではないかと思っています。日に日に周りの巣のヒナたちが巣立ってゆきコロニーの雰囲気が淋しくなる、その変化を親鳥が感じとって、もうこの時期では無理だと判断するのではないかと思うのです。
「コロニーの雰囲気」というのは漠然としすぎていてあまり説得力がないかもしれません。けれども、私はこれはアオサギの集団繁殖の本質を考える上でひとつのキーワードだと思っています。個々のアオサギがいま何をすべきかを判断するとき、コロニーの雰囲気はその重要な判断材料のひとつになっていると思うのです。
おそらく、アオサギを集団から隔離すればいろいろなところで支障をきたすようになるはずです。生きること自体にはそれほど影響はないと思いますが、たとえば効率よく餌が獲れなくなったり、営巣はしても育てられるヒナの数が少なくなったりということは十分考えられます。何につけ効率が悪くなったり生産性が落ちたりするわけです。
ところで、たまにひとつがいだけで営巣しているアオサギがいますね。彼らはよほど自分たちの判断力に自信のある経験を積んだ個体なのでしょう。あるいは単に社会性のない変わり者なのかもしれませんが。Re: 最後の3羽投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/02(Tue) 21:48No.1106遅いとなぜ繁殖に失敗するのかについてもうひとつ別の原因を考えてみます。親が自発的に子育てを諦めるのではなく、諦めざるを得なくなるような状況。つまり、ヒナに十分な餌を与えることができなくてヒナが餓死する場合です。ただ、この時期、他の巣では大きなヒナを育てているところもあるわけですから、餌が全然獲れないということはないはず。仮に採れる餌の量が時期的に少なくなったとしても、全てのヒナが餓死するほど少ないというのはちょっと考えられません。3羽が無理なら2羽、2羽が無理なら1羽というように、その時の餌量に見合ったヒナ数が生き残っても良さそうなものです。けれども、実際は遅く繁殖を始めたところは1羽も残らないのが普通です。
こう考えると、上で書いたように親が自発的に放棄すると考えたほうが合っているような気がします。
余談ですが、小さなヒナは大きなヒナに比べて少量の餌で間に合うかというと必ずしもそうではありません。ヒナの食物摂取量が最大になるのは生後17日目(Heinroth 1967)という報告もあるくらいで、体の大きさと食べる量は比例しないのです。ちなみに、Heinrothによると、生後17日目の食物摂取量は330gだそうです。その頃の体重はおよそ800g程度ですから、体重の4割以上もの餌を食べているわけですね。Re: 最後の3羽投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/11(Thu) 01:38No.1109もうひとつこれに関連した話を書きます。
上に書いた巣から5メートルほど離れた別の巣で起こった出来事です。こちらの巣にも同じく3羽のヒナがいました。ヒナの大きさから推測すると上の巣のヒナよりは4、5日ていど早く生まれていたでしょうか。いずれにしても他の大部分のヒナに比べてかなり遅く生まれたことは確かです。この巣でヒナが誕生したのは6月上旬。他の巣では4月中旬に生まれたところもありますから、ざっと7週間くらいの開きがあります。さすがにこれだけ遅いと繁殖の成否にも大きく関わってきます。では、どのくらい影響があるかということですが、たとえばアメリカのオオアオサギの事例で紹介すると、最初の週に産卵したつがいでは、そのヒナの死亡率が16%なのに対し、5-11週目になると60%に達する(Butler 1995)ということです。
残念なことに、この巣のヒナたちも巣立ちまで生き抜くことはできませんでした。私の目の前で次々にカラスに殺されてしまったのです。写真は6月24日、まだヒナが3羽とも生きているときに写したものです。このヒナで2週目の終わりか3週目の初めくらいです。写真では1羽しかいないように見えますが、実際は同じくらいの大きさのヒナが3羽います。そして、巣の下の枝に見えるふたつの黒い影がハシブトガラスです。この写真には入っていませんが、もう2、30センチ離れたところにもう3羽います。
この巣の親鳥がなぜいなくなっていたのかは分かりません。おそらく、ヒナがこのくらいの大きさなら巣を空けても大丈夫と親鳥が判断したのでしょう。けれども、もし本当にそうだとしたらそれは大きな間違い。カラスはその気にさえなれば自分と同じくらいの大きさのヒナでも巣から引っぱり出すこともあるのです。この程度の大きさのヒナなら訳もありません。ただ、1羽のヒナなら問題なくても、3羽になるとちょっと厄介なようです。相手が3羽だと、1羽を襲っている隙に別のヒナに突つかれる恐れがあるのでしょう。このときのカラスは5羽もいるにもかかわらず思いのほか慎重でした。様子を伺っているのか、ヒナの間近にいるのに何も起こらず、奇妙な膠着状態が10分ばかり続いていました。そのときの様子を写したのがこの写真なのです。
しかし、そんな状態もやがて終わる時がきました。1羽のカラスが枝をあちこちに移りながらヒナに向かって突っつき始めたのです。3羽のヒナも負けずに突つき返していました。ただし、カラスのほうは安全な距離をとっているので、実際はどちらのくちばしも相手には届きません。こういう攻防が1分半ほども続いたでしょうか。ある瞬間にカラスにスイッチが入るのがはっきりと分かりました。カラスは1羽のヒナが深く突っついてきたところをくちばしで捉え、そのまま巣の下へ引きずり落としてしまいました。1羽がいなくなると、残りの2羽が襲われるのは瞬く間でした。1羽目が巣から落とされてから3羽目が攻撃されるまでたぶん1分ほどだったと思います。結局、残りの2羽は、1羽がカラスにくわえられたままどこかに連れ去られ、もう1羽は巣の中で食べられてしまいました。
こういう場面に出くわすと、走っていってカラスを追い払いたい衝動に駆られます。しかし、それをしないのは、自然界の出来事だから人が干渉すべきではないという思いと、もしそんなことをしようものなら、カラスが引き起こしている以上の混乱をコロニーにもたらすだろうという実際的な問題があるからです。結局、何もできないもどかしさに苛まれつつ、ただの傍観者として事態の一部始終を眺めることになります。
じつは、この事件を見ていたのは私だけではありませんでした。上で書いた5メートル離れたところにある巣の親鳥(無事、3羽のヒナを巣立たせた親鳥)も、自分の小さなヒナたちを翼の下に入れたまましっかりと見ていたのです。その時、親鳥が「あの小ささではまだカラスにやられる、もっと大きくなるまで巣にいて護らなければならない」と思ったかどうか。この親鳥が隣のヒナの犠牲を見て自らの子育ての教訓にしたと思いたいものです。
今年生まれたと思われる幼鳥が、札幌駅近くを流れる人工河川に姿を現しました。
自然豊かな新天地が少なくなったということか、一日の交通量が市内で指折りの国道(車道)に挟まれて堀のように水面が下がった川です。水量水質は魚の存在を想像させる環境です。車道に挟まれた川なので、人の目には触れずらく橋からなら見えます。
幼鳥の逞しい生活力と受け取るか、こういう騒々しい環境を選ばざるを得なかった哀れさと受け取るか考え込みました。
Re: 幼鳥、新天地を目指して投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/09/05(Fri) 21:36No.1107年々、とまではいかなくても、以前に比べると都市域で見かけるアオサギが多くなったのは確かです。これは多かれ少なかれ全国的な傾向のように思います。その現象をどう捉えるかですが、これはいろいろ議論のあるところでしょうね。カラスさんが書かれたように、他に適当な餌場がなくて仕方なく市街地に出てきたという面はあると思います。つまり、それだけアオサギの個体数が増えているのでしょう。そう遠くない将来、札幌のテレビ塔でアオサギが休む姿を見るようになるかもしれません。
それから幼鳥についてですが、このような新しい環境を開拓するのはたぶん幼鳥のほうが得意です。警戒心が少なくて、まだ成鳥のように行動パターンが固定されてませんから。
札幌中央区の中島公園の池に、時折アオサギが来ます。
昨22日のお昼ころに魚を捕っていたアオサギが、場所を変えて水浴びをし始めました。
普段はもの思うように水辺に佇む風情ですが、この時は頭を水に差し込み体を横たえて鴉のように水浴びをしました。
時々体を立てて、まるで湯に浸かる小父さんの風情もありました。初めてみるアオサギの素っ頓狂な様子でした。
さて、写真で気が付いたのですが、水浴びの画面には白い粉のようなものが水面に広がっていました。丁度、ドバトが水浴びすると水面に広がるものと同じに見えます。これは何なのか知りたいのですが、ご存知の方どうぞ教えて下さい。
Re: 水に浸かるアオサギ投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/23(Sat) 10:38No.1097カラスさん、おはようございます。
これは珍しい写真ですね。
白い粉というのは、たぶん粉羽からつくられた粉だと思います。他の鳥類のことは分かりませんが、サギ類には粉羽というのがあって、この粉を羽に塗りつけることで水をはじくことができるのです。
光の加減によっては、アオサギがブルッと羽を振るったときなど、空中に多量の粉が浮遊するのが見えますよ。Re: 水に浸かるアオサギ投稿者:カラス投稿日:2008/08/23(Sat) 14:00No.1098まつ@管理人さん。
コメントありがとうございます。やはり珍しい場面だったと分かりました。アオサギは頭と首で水を掬い上げるような水浴びの動作をしていましたが、タイミングが合わなくて画像には出来ませんでした。その雰囲気が分かる画像を貼ります。
水面に広がった白い粉の情報を有難うございました。粉が水を撥く性質というのも新しい情報でした。羽を振った時に散る粉を意識して観察する楽しみも増えました。Re: 水に浸かるアオサギ投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/08/25(Mon) 21:06No.1100カラスさんこんばんは。
よく気付かれましたね。私もアオサギの観察を始めて‘powder down‘という存在を知りました。
川で水浴びをしたときに、白く帯のように流れるのを見ました。遺伝的には近いといわれるコウノトリではどうなのでしょうね?
殆どの鳥では、尾の付け根にある泌脂腺から分泌される脂質を嘴で全身の羽にすりつけますが、特に鴨の類は洗剤でこの油を洗い流すと沈んでしまいます。
鶏肉を整形するときにこれを取り除かないと臭みが残ります。
写真はスズメが泌脂腺の油を羽に塗っているところです。Re: 水に浸かるアオサギ投稿者:カラス投稿日:2008/08/26(Tue) 16:30No.1101エゾミユビゲラさん
泌脂腺の情報を有難うございます。尾の付け根にある泌脂腺から分泌される脂質で羽の手入れをするそうですが、「脂」は撥水とともに擦り合う羽の滑りを良くする役目も担っていると思いました。脂がどういう形態か知りませんが、少なくとも食用油の様にゴミを吸い寄せるものではないように思います。
撥水性と減摩性のある脂や粉でそれぞれの鳥たちが大切な羽を維持保守して居ると思うと、観察の興味も増します。ありがとうございました。
こんばんはご無沙汰してました。愛知の青鷺もエサ取りに頑張っているようにみえます、然し、愛知では白鷺20羽に対し青鷺1羽って感じで汽水域の川にいます。
白鷺はチョコチョコ歩いているのに対し青鷺はじ~~としています。私事ですが前よりいい条件で仕事復帰することになりました・・。また、今年の冬には青鷺を自然に見ることが出来るようになり、真に嬉しく思ってます。
何年も観察することにより自分で知りえる事もたくさんあると嬉しく思ってます。
Re: 無題投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/17(Sun) 22:14No.1093ダイナママさん、こんばんは。
まずは、お仕事への復帰、おめでとうございます。これで安心してアオサギの観察ができますね。
シラサギ20羽にアオサギ1羽とは、シラサギ類がほとんどいないここ北海道ではまずお目にかかれない光景です。北海道のシラサギ類は以前に比べれば多少増えたようですが、それでも滅多に出会うことはありません。アオサギが1000羽いるとすればシラサギ類は1、2羽といったところでしょうか。
サギといえばアオサギしかいないというのもさっぱりしていいですが、いろいろなサギ類が一緒にいるというのはやはり見ていて楽しいでしょうね。Re: 無題投稿者:ダイナママ投稿日:2008/08/21(Thu) 08:38No.1094ほんとアリガトウございます。子育てする巣を観察するのはちょっと嬉しい環境に戻れました。
白鷺は北海道には少ないとはびっくりです、愛知では白鷺と会うほうが容易です。たまにゴイ鷺も見かけます。青鷺は真冬の北海道以外は環境に適しているのでしょうか?
白鷺は海にも川にもいて真白でとても目立ちます
大きさは青鷺とほとんど同じか少し、小さいような気もします。ツイツイ、青鷺を探してるので白鷺の観察はしてないことに気が付きました。Re: 無題投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/21(Thu) 21:51No.1095ダイナママさんがご覧になったシラサギはたぶんチュウダイサギだと思いますよ。大きいのか中くらいなのかはっきりしない名前ですが、アオサギと比べると若干小さく見えるサギです。これとよく似た種にオオダイサギというのがいて、こちらはアオサギよりわずかに大きいです。ただ、いずれの場合も並んでくれないと私は区別できません。基本的には、チュウダイサギは日本で繁殖する夏鳥、オオダイサギは越冬のため北から渡ってくる冬鳥です。名前も大きさも紛らわしい両種ですが、いる季節だけははっきり違っています。
下のページにそれぞれのプロフィールを書いていますのでよろしければご参考に。
「サギたちのプロフィール」 ⇒ http://www.grey-heron.net/profile-of-herons/
ゴイサギといえば、こちらも北海道では少数派で、10年ほど前に数巣規模の繁殖がようやく確認されるようになったばかりです。シラサギ類の繁殖にいたっては、チュウダイサギ(あるいはオオダイサギ?)の繁殖がこれまでたった1例確認されただけ。というわけで、今も北海道はアオサギの天下です。
ただ、これは今現在の状況にすぎません。たとえば、松浦武四郎(北海道の名付け親として有名)の書いた日誌を読むと、幕末の頃の北海道にはシラサギ類がけっこうたくさんいたのではと推測できます。それに、北海道でアオサギがよく見られるようになったのはここ2、30年のこと。サギの世界はかなりダイナミックに変化しているようなのです。
ダイナママさんのところでもサギたちの世界に変化はきっと起きているはずですよ。
よしよさんの所から とんでまいりましたぁ
(*^-^*)/おじゃまします~♪
動物 特に鳥さん大好き人間でーす。
みなさんにいろいろ教えていただいて ただいま勉学中~
アオサギはとくに いつも追っかけで 皆さんに見ていただいてるのよ たいした事ないけど (~o~)
早速アオサギさん いろいろ読ませていただきました。
すごいよぉ(*>д<)/(´ω`◎)ゞ
いろいろ教えていただきたいんですが...
ヾ(*・ω・*)ノヨロシクお願いたします(o*_ _)o))ペコッ
Re: お邪魔いたします投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/17(Sun) 22:13No.1092ニャンコさん、はじめまして。
よしよしさんは、2年ほど前にアオサギの交尾のことで尋ねて来られました。その時の縁でリンクまで張っていただいてます。HPを長く続けていると繋がりだけは増えていきますね。WEB(蜘蛛の巣)とはよく言ったものです。
このサイトを始めるまでは分かりませんでしたが、アオサギのことを気にかけている人は意外に多いですよ。そうした人たちのお陰でこのサイトも続いているようなものです。たいしたお答えはできないかもしれませんが、アオサギのことなら何でも尋ねてみて下さい。
ところで、写真のアオサギの乗っている木、何の木でしょうね。枯れたのがアオサギのフンのせいでなければ良いのですが。
新聞には「読者のニュース写真」コーナーというものがあるようです。
8月16日読売新聞(北海道)の「読者のニュース写真」欄に「わが子奪われ」の題で鴨の雛を捕食した瞬間の写真が載りました。カルガモの雛を咥えて飛び立つアオサギをカルガモの親がが追いすがる写真でした。
この種の観察はあっても画像は極めて少ないものなので、読者のよしみで富山県の撮影者に撮影現場の様子を電話で聞かせて頂きました。快く応じてくださって感謝しています。
様子は以下のようです。富山県伏木富山港の海王丸パークに隣接する「海王丸バードパーク」の出来事だそうです。
元は貯木場で池に浮く丸太にアオサギが数羽いたそうです。そこへ一羽の雛を連れたカルガモが泳いできたそうです。
突然、丸太の一羽と思われるアオサギがカルガモの雛に襲いかかり、カルガモの親もアオサギに体当たりして羽をむしり取る激しい抵抗をしたそうです。そんな生々しい様子を聞くことが出来ました。
アオサギはやがて捕った雛を呑み込んだそうですが、死んだ雛を水に浸してから飲み込んだそうで、私が観察した中島公園のシマセンニュウの場合と同じでした。
今回は紙上に写真画像がありますから、興味のある方はご覧になれます。
Re: アオサギがカルガモの雛を捕る投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/16(Sat) 15:48No.1089デジカメで手軽に写真を撮れる時代になったからでしょうか、これまで知識でしかなかったものを映像で目にする機会が多くなりました。今回カラスさんが紹介して下さったのもそうした例のひとつでしょうね。
アオサギが獲物を呑み込む前にはたいてい一回水に浸します。それは魚を捕らえたときも同じ。何故そうした行動をとるのかはよく分かりませんが、表面に少しでも水分があるほうが呑み込みやすいのかもしれません。アオサギは敢えて水を飲むことをしないので、もしかすると水分補給という意味合いも多少あるのかなとは思います。ただ、魚などでは表面を濡らしたところで魚そのものに含まれる水分に比べたら微々たるものですから、やはり喉を通りやすくするためと考えたほうが合っているような気はします。
中生代の翼竜の想像図をみて、連想が広がりました。
アオサギの飛ぶ形は翼竜のそれに似ていると。
翼竜の頭部からは板状の角があるのがいます。アオサギの頭部からは長い2本の羽毛が生えています。
この冠羽は、風になびいてやわらかそうですが、興奮した時などは角のように直立します。冠羽のある鳥はみなそのようですが、アオサギのは棒状の角から変化した見た目より頑丈な冠羽??なんて。
アオサギの祖先は翼竜ではないそうですが、飛躍しすぎとはいえ近いものがあるような気がしました。他のサギ類と何となく違うアオサギの不思議な雰囲気は翼竜に似る???
Re: 翼竜に似る??投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/08/07(Thu) 20:21No.1086管理人さんも確か初めてアオサギを見たとき、恐竜みたいだと言う印象をもたれたとか・・・。
コロニー近くをグワーという鳴き声とともに飛ぶ姿は、何か別世界に来た様に感じますね。
ところで、昔よりアオサギと鶴はよく混同されていますが、前々から感じていることですが、折鶴の姿は鶴よりも鷺に近いのではないでしょうか?
鶴の飛ぶ姿はまっすぐ首を伸ばして飛びますが、鷺はカラスさんの写真のように折りたたんで飛びます。
折鶴に似ていると思いませんか?Re: 翼竜に似る??投稿者:カラス投稿日:2008/08/09(Sat) 09:35No.1087エゾミユビゲラさんレスありがとうございます。
長い首を折りたたむ形は他の鳥にはあまり見られないような気がします。
折鶴は折り紙の傑作の一つと思います。アオサギ贔屓の目から見ても折鶴に現わされる端正さは共通ですがやはり折鶴は鶴(タンチョウ)でアオサギの雰囲気ではないような気がしました。
折鶴の胴体のボリューム感と開けっ広げの明るさは、アオサギの痩せて思索的な雰囲気に似合わないような気がするのです。首の形も白鳥のイメージでアオサギには似ていないとおもうのです。でも、限られた条件で特徴を現わす技には瞠目します。
首をたたんだ形を強調するか、直立して日を浴びる形を折り紙で表現したほうが、アオサギらしくなるような気がしました。
折り紙から連想を広げてくださってありがとうございました。
最近の中島公園で、池に浮かぶ島の深い草むらから咥えだしたのはシマセンニュウでした。一瞬カエルのように見えましたが、写真を拡大したらそうでした。
Re: アオサギ獲物呑み込むⅢ投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/01(Fri) 19:37No.1079貴重な写真を見せていただき、ありがとうございます。アオサギによる鳥類の捕食はそれ自体あまり例のあることではありませんが、このようにクリアな写真が残っているのはさらに珍しいと思います。
それにしても、シマセンニュウもまさかアオサギに襲われるとは思わなかったことでしょう。お気の毒です。小鳥たちのいる世界はさながらジュラシックパークのようなものなのでしょうね。Re: アオサギ獲物呑み込むⅢ投稿者:エゾミユビゲラ投稿日:2008/08/01(Fri) 21:49No.1080カラスさん今晩は。
珍しい写真ありがとうございました。アオサギの餌のレパートリーの広さには感心させられますね。
追いかけ廻しては捕まりそうにない小鳥ですが、アオサギの餌の獲り方は、ひたすらじっと待ち伏せていて、射程距離に入ってきたら電光石火に捕らえるというやり方から考えると、シマセンニュウも可能な事なのですね。
先日の縄張りを持つのかという事についても、縄張りを持っている事もあるし、そうでない事もあり、渡りをするかというと、渡るアオサギもいるし、渡らないアオサギもいるというフレキシブルなところが、適応力の高いところではないでしょうか?
アオサギは世界に広く分布を広げ成功している種であると言われる所以はこんな所にあるのではないでしょうか?
タンチョウもかつては、渡りをする個体が殆どで、北海道で一部越冬していた個体がおり、渡りをしていた個体は全滅をして、少数の北海道で越冬していた個体のみが生き残ったという例があり、色々なバリエーションを持つ事は危険分散に繋がっているのでしょうね。Re: アオサギ獲物呑み込むⅢ投稿者:カラス投稿日:2008/08/02(Sat) 08:22No.1082アオサギは餌を丸呑みしますが、その種類の多さには驚きます。アオサギを議論するページのサイトで知りました。
不消化のぺリットを吐き出すとはいえ、ワシやタカの比ではない消化力です。比べれば蛇の持つ消化力に近いのではないでしょうか。
丸呑みした亀の甲羅のみならず骨まで溶かす胃液は驚きです。自分の消化器も同じような組織なのに、それは溶けないのですから、さらに驚きです。
さて、シマセンニュウを獲ったのは都市公園の池の島でした。人のいるところへ入り込むとはいえ、対岸で人が見ているのを承知で素早く狩りをするのは、まわりの状況判断の確かさを物語る証拠かもかもしれません。
アオサギが狩りをした場所の環境がやや分かる、拡大前の画像を貼ります。
これも札幌市内の中島公園で、40㎝は有りそうな鯉?を呑み込みました。魚の太さはから想像すると、蛇のように顎の関節を広げる構造になっている?
Re: アオサギ獲物呑み込むⅡ投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/01(Fri) 19:36No.1078背景はどこかメルヘンチックですが、アオサギのやってることはすごいですね。アオサギにエレガントなイメージしか持っていなかった人はこれでいっぺんに幻滅するのでは。
写真はアオサギの頭骨ですが、顎関節をはずせるかどうかまではよく分かりません。今度、実物を見てよく調べてみたいと思います。
まつ@管理人さん。
>>また機会があれば、この掲示板にも写真を貼ってもらえると嬉しいです。
お声を掛けていただいて有難うございます。いい写真は有りませんが、勝手に面白いと思う写真を貼らせてください。
札幌市内を流れる一級河川、豊平川でアオサギがヤツメウナギを捕りました。50㎝は越していそうです。ウナギの抵抗が弱まると、そのままぶら下げて飛び去ってゆきました。
Re: アオサギ獲物呑み込む投稿者:まつ@管理人投稿日:2008/08/01(Fri) 19:36No.1077カラスさん、こんばんは。
この手のひょろ長い獲物は獲ってからがひと苦労なんですね。ヤツメウナギと似たような獲物は、ドジョウをはじめ海でいえばギンポなどもいますが、どれもくるくるとくちばしに巻き付いてくるので、アオサギも弱らせるのに苦労するようです。
これが巣に持ち帰られると、小さなヒナのいるところでは2羽のヒナが両端をくわえて綱引きをしていたりします。ヤツメウナギにしてみれば、あまり想像したくない最期です。
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