アオサギを議論するページ

地震

地震が起きて5日が過ぎました。どれだけテレビで映像を見ても、この惨状が何なのか、私の想像力ではとても理解できそうもありません。

アオサギが、ここ北海道にも渡ってきました。札幌の隣にある江別コロニーでは、昨日の段階で60羽弱がすでに営巣を開始中。12日に確認したときはまだ到着してませんでしたから13日あたりに飛来したのでしょう。とはいえ、今こちらに来ているのは全体の2割にも満たないはずで、ほとんどはまだ北海道にも辿り着いていないものと思います。もしかすると、今頃、被災地付近を北上中の群れもいるかもしれません。あるいは、11日に地震や津波に遭遇したサギがいたかもしれません。ただ、翼をもつ彼らはそこにたまたま居合わせることはあっても被災することはないんですね。それを思うと、人が地上にしがみついてしか生きられないことの無力さをあらためて感じざるを得ません。

アオサギは人間と比べるととても不確実な世界に生きています。激変するのが当たり前の環境に身を置く彼らにとって、地表面が変化するとか部分的に無くなるとかはもとより織り込み済み。翼があることに加えて、そうしたことが起きても実害が極力少なくなるようなライフスタイルを彼らは選んでいます。ところが、人はというと、しっかりした地面のあるところでしか生きられません。だからこそ、少しでも安心して暮らしていけるように、身の回りのあらゆるところを細部に至るまで手を加えてきたのだと思います。しばしば個人や組織の欲や独善、あるいは無知によってその行為の正当性が歪められはしても、人が環境を自ら改良するのは、基本的にはそうすることでしか生きる術がないからです。けれども、人がどんなに努力をしても、地球がほんのちょっと身を震わせただけで一瞬で全てが無くなってしまうのが現実。その不条理さを思うといたたまれません。

亡くなった方のご冥福を心よりお祈りします。そして、今どこかで無事でいるはずの方々が一刻も早く救出され、避難所の皆さんが少しでも早く日常の暮らしに戻れることを切に願っています。

営巣期直前の日々

皆さんのところのアオサギはもう巣づくりを始めたでしょうか?
北海道はまだこれからという所が多そうですね。江別のコロニーはまだ渡りのサギたちが飛来するのを待っているところ。ねぐらで越冬していた十数羽は、気が向けばコロニーに出向き、コロニーで落ち着くのかなと思えばまたねぐらへ、といったどこかふわふわした日々を送っています。おそらく、ここ1週間から10日ぐらいはこんな感じが続くのではないでしょうか。その間に全体の2割ていど、100羽ほどのサギが渡ってくるはず。そうなれば、コロニーにずっと留まるようになり、いよいよ本格的に営巣開始です。

こちらで越冬したサギたちは、渡りのサギがいつ来るのかとそわそわした気分なのだと思います。午前中、コロニーに向かい、そこで渡りの連中が来てなければ、「ああ、今日は来ないんだな」と諦めてねぐらへ戻る。きちんと調べた訳ではありませんが、どうもそんなパターンがあるような気がします。

アオサギのくちばしは薄くオレンジ色に染まっている程度でまだ鮮やかな婚姻色は出ていません。けれども、ねぐらで餌を探す光景は真冬には見られなかったこと。繁殖期を目前にして、アオサギの行動にも少しずつ変化が現れているようです。

写真は一昨日、ねぐらとなっている水辺で撮ったもの。少し前からいるオオダイサギとのツーショットです。白い色のせいもあるのでしょうけど、オオダイサギのほうがアオサギよりいくぶん大きく見えますね。

おそらく今年も一番乗り

北海道でも早いところはもう営巣の準備が始まっているようです。
写真は帯広市内にある水光園のアオサギ。おとといの15日、ここのコロニーで8羽のアオサギを確認しました。そして、このうち2羽は同じ巣に並んで立っていました。じつはこの付近はアオサギの越冬場所になっていることもあり、このコロニーが使われはじめるのは道内では特別早いのです。

ただ、コロニーに居着くようになってもすぐ本格的な営巣活動に入るわけではないように思います。おととい見たサギたちも婚姻色はまだほとんど出ていませんでした。もしこの時期からやる気満々で巣づくりを始めたとすると、遅くとも3月中にはヒナが生まれることになります。それは北海道ではちょっと考えられません。道東のほうは真冬より春先のほうがドカ雪になることが多いと思いますし、そんな時期にヒナがいたのではリスクが高すぎます。おそらく、この時期は気が向いたら巣材をとってくる程度で、本格的に始めるのはまだしばらく先、結局はこの地域の他のコロニーとそれほど変わらない時期になるのではないでしょうか。これは私の推測に過ぎないので、もし水光園のアオサギを観察している方がいらっしゃれば、是非ご意見や情報をいただければと思います。

それにしても、冬、十勝で撮った空の青いこと。どの写真を見ても、バックは決まって青空です。

氷上のサギたち

昨日、今日と荒れ模様の札幌です。雪もまあまあ積もり、これでようやく冬の底に辿り着いたという感じですね。

写真は、そんな天気の中、水辺に佇む一群れのアオサギたちです。右側の中央付近、ヨシ原の陰に胡麻粒のように見えるのが分かるでしょうか? 水辺と言っても今はすっかり凍っているので、彼らがいるのは実際は氷の上です。そして、彼らの餌は氷の下。こんな天気の中を外で凌がなければならないだけでも大変そうなのに、餌もろくに獲れなれない状況を見ると、なぜこんなところでわざわざ越冬するのだろうと、毎年のことではありますが首を傾げたくなります。

右の写真は、つかの間の晴れ間で明るくなったところをクローズアップしたもの。このとき確認できたのは6羽でした。ところで、不思議なことに、この群れのうち成鳥は2羽しかいません。残りはみな去年生まれの幼鳥です。この場所では今年も20羽前後が越冬していますが、そのうち幼鳥はおそらくこの4羽しかいません。つまり、他のサギたちがねぐらを離れても幼鳥だけは残っているわけです。成鳥と幼鳥では餌獲りの技術に差があるので行動パターンが同じにならないのは分かるのですが、こんなふうに幼鳥だけ(とは言っても、成鳥も混じっていますが)でいると、環境が環境なだけにまともに食べれているのか心配です。厳冬期はまだ始まったばかり。春までなんとか生き延びてほしいものです。

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