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コロニーの分散

コロニーの分散

2001/11/01(Thu) 09:15      まつ@管理人      コロニーの分散

昨日、さる人より教えられたのですが、先月の道新にアオサギの新聞記事が載ってたようです。気付かなかったので、おそらく釧路版のみだったのでしょう。記事になったのは標茶にある塘路湖コロニーで、今年の営巣数が大幅に増え172巣になったということでした。このコロニーは国道のすぐ脇にあります。子育ての様子も間近に見られ、観察するほうとしては条件のいい場所です。実はこのコロニー、比較的新しいもので1991年頃につくられました。その2年後に行った私の調査では43個の巣を数えていますから、その後も順調に成長したということですね。ところで、このコロニーは釧路湿原のハンノキ林にあったコロニーが分散してできたものだと考えられています。分散はここだけに留まらず、釧路動物園や幌呂川(既に消滅)、阿寒などへも広がっています。1998年にはついに釧路の町中(武佐)へも進出しました。釧路のケースでは営巣木の枯損倒壊が主たる要因のようですが、同じようなコロニーの分散は他の場所でも起きています。例えば札幌でも。札幌の場合その母体となったのは野幌コロニーです。ここは例のアライグマ騒動で消滅したコロニーですが、ここのサギたちは周辺に3つのコロニー(平岡、江別、篠路)をつくり分散していきました。なお、相当数のサギが苫小牧方面へ行った模様ですが、苫小牧に昔からあったコロニーの個体数が同時期に激増していることから、そのサギたちは苫小牧コロニーに吸収されたものと思われます。この他に江丹別を母体とした旭川方面の分散、あるいは(どこが母体かよく分からないのですが)天塩川周辺域の分散、古くは苫小牧明野地区からの日高方面へ向けての分散などがあります。分散し生息域を広げ、さらなるコロニーの分散へ、というようにアオサギは生息域を拡大しているようです。とはいえ、考えてみれば当たり前の話ですね。まあ、それはともかく、コロニーの歴史的な関係を明らかにする作業っていうのは、深く追求するにつれどんどん情報が希薄になっていくわけですが、それだけ自由に想像を巡らすスペースは増えるわけで、ルーツを辿る面白さにますますはまってしまいます。

最初のアオサギは道内のどこに飛来したのか、そう遠い昔ではないような気もします。

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