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鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザ

2005/11/20(Sun) 19:00      まつ@管理人      鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザというと、当然アオサギも無縁ではありません。アオサギが鳥インフルエンザを発症したというニュースが昨年後半から何度か報道されました。以下、備忘録としてアオサギのこれまでの発症例を書き留めておきたいと思います。事実を書くだけなので読んで面白いものではありませんが。

最初に感染個体が見つかったのは、香港新界落馬洲で2004年11月1日のことです。このアオサギは発見されたときにはすでに死んでおり、感染時期も推定できないほど腐敗していました。同日に検査が始まり、11月3日にH5N1型ウイルスが確認されたと発表されました。つづいて2004年12月3日、同じ場所で衰弱しているアオサギが見つかっています。このアオサギは翌4日に死亡、8日から検査が始まり、13日に検査結果が報告されました。このアオサギの感染時期は11月27日から12月1日までの間だと推測されています。

この地域では、アオサギが見つかった場所から半径5キロ以内の全ての養鶏場が検査され、鶏に異常がないことが確認されています。また、2004年1月から2例目のアオサギの報告までに、市場で売買されている鳥やペットとして飼われている鳥など合計1万羽を超える個体が検査されていますが、これらの鳥からはH5N1型のウイルスは検出されていません。さらに、野生の鳥についても6900個体が検査されています。このうちH5N1型ウイルスが検出されたのは、2004年1月19日に感染が報告されたハヤブサと上記2例のアオサギだけだったそうです。なお、アオサギは香港では繁殖していませんが、冬季に1200羽ほどが越冬しています。

2005年10月、今度は遠くルーマニアで感染個体が見つかります。モルドバ共和国との国境に近いVasluiという地域で10月21日に死んでいるサギが見つかり、イギリスに検体を持っていって調べたところH5N1ウイルスが検出されました。この場所から約100キロ南のドナウデルタでは、10月初旬にヨーロッパ大陸で初めてH5N1型のウイルスが検出されており、このサギはそれに次ぐ事例となりました。

ところで、今回のルーマニアの報告は、英文ではどの記事を見てもheronとしか書かれておらず、アオサギかどうか定かではありません。ルーマニアだとアオサギの他にムラサキサギもいるはずなので。ところが、日本語で書かれた記事の多くははっきりアオサギと訳されています。どこの記事が発信源か分かりませんが、誤訳がそのまま連鎖的に引用されているようです。まあ、この程度の誤訳は大したことではないと思うべきなのでしょう。日本の自治体の中には鳥インフルエンザの報告の中で、アオサギをハイイロサギと記載しているところもあるくらいですから。たしかにGrey Heronは直訳すればハイイロサギですけどね。

2004/03/20(Sat) 16:38      まつ@管理人      鳥インフルエンザ

2月20日付け朝日新聞朝刊に、アオサギと鳥インフルエンザの関連を示唆する記事が載っていました。大分県九重町のチャボが鳥インフルエンザに罹って死んだ件で、その感染経路について書かれたものです。記者の推測によると、近くの川で越冬するカモ(もともとカモの腸内には鳥インフルエンザウィルスがいるそうです。ただし病原性はないそうですが)を感染源に、そこからアヒルに感染し、さらにアヒルと一緒に飼われていたチャボに感染したのではということです。しかし、アヒルはカモのいる川へは行かないらしく、では誰がウィルスを媒介したのかとなるわけですが、ここでアオサギの登場です。チャボとアヒルが飼われていた民家の池でアオサギがコイを狙うことから、川と池の両方を行き来するアオサギに疑いの目が向けられたというわけです。

この話は、飽くまで記者の個人的推論に過ぎず、記事を読む限り科学的根拠はほとんどありません。別にアオサギでなくても他にも可能性がいくらでも考えられますし、そもそも感染のスタートがカモでなくても良いわけです。可能性が全く無視できるわけではないですが、週刊誌ならまだしも、このような推測主体の内容が新聞記事になっていいの?という感じもします。

ところで、しばらく前、タイの確かスキハシコウだったと思いますが、鳥インフルエンザで約800羽が死んだというニュースがありました。スキハシコウとアオサギはどちらもコウノトリ目の鳥で、習性や生息環境も似ています。なので、いつアオサギがスキハシコウと同じ状況になってもおかしくないはず、と思うのですが病理学的にはどうなのでしょうか。ただ、これらの鳥は集団で暮らしているがゆえに、いったん感染した後の状況は養鶏場のニワトリと同じようなもので、被害は非常に深刻だと思います。

標識調査によると、日本のアオサギはベトナムまで行くこともあるそうです。であれば、もしかするとタイで越冬する群れがあるかもしれません。スキハシコウのニュースを聞いて思ったのは、春の渡りが始まればウィルスが広範囲に拡散するのではないかということでした。この春、感染したアオサギがタイから日本にやってくることもあるのではないかと…。今のところ、そのような気配もないのでホッとしています。けれど、これも素人考えです。どこか根本的な部分で間違っていて一人で一喜一憂しているだけなのかもしれません。

いずれにしても、アオサギも一応鳥の仲間なので、鳥インフルエンザとの関係を可能性として無視できないことは確かです。ただ、その可能性に振り回されて、アオサギに対し過剰に反応することは無いようにしたいものですね。

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