アオサギを議論するページ

Haiku

Haikuは読んで字のごとく俳句のこと、ただ日本語の俳句とはちょっと趣が異なるようですね。五七五のような語数、あるいは単語数の厳密な規定は無く、短い3行詩のような形になっていればOKのようです。
アオサギを詠んだものがないかなと思ってネットで探してみるといくつか出てきたのでご紹介。オオアオサギの句も混じっています。

single grey heron
flying overhead
then flies back again

とりあえず訳してみます。意訳でも何でもなく単語をそのままの訳しただけですが。

訳「一羽のアオサギ 頭上を飛ぶ そしてまた飛んで戻る」

私がこの句でイメージしたのは巣立ったばかりの幼鳥。物珍しげに人の頭上に飛来し、一瞥して元来た方へ戻って行くというシーンです。好奇心旺盛な幼鳥ならではの行動ですね。でも、たぶん作者が見た情景とは違うと思います。
この句は「Haiku in English」というサイトにあったものです。日本語の俳句でもそうですが、これが英語のHaikuになると良い句なの駄作なのかますます分かりません。

great blue heron stands
so quietly at pond’s edge
stalking big, fat frogs

訳「オオアオサギが立っている とても静かに池の縁に 大きな太った蛙を突き刺す」

これも同じサイトにあった句。方やアオサギ、方やオオアオサギというところを見ると、両方を同じ地域で目にすることはまずありませんから、別々の人が作った句なのでしょう。いずれにしても、どちらの句もサギの行動をそのまま詠んだ、ただそれだけのような気がします。

次の2句は「Bird Haiku Series」 というページにありました。

grey heron’s dance —
yellow bill and legs
change to deep orange

訳「アオサギのダンス 黄色のくちばしと脚 濃いオレンジ色に変わる」

ダンスは求愛ディスプレイ、そして色の変化は婚姻色のことでしょう。ただし、この色、ディスプレイしているうちにみるみる変わるものではありませんが。

snow on the ground —
a great blue heron, egg-shaped,
stands on one leg

訳「地面に雪 卵形のオオアオサギ 一本脚で立つ」

この情景はよく分かります。印象的な情景は洋の東西を問わないということですね。ただ、あの首をすくめて佇んでいる姿を卵形と表現したのは新鮮でした。

Haikuは英語圏だけのものではありません。たとえばフランス語でつくられた句。

le charme se rompt
au passage du camion
envol d’un héron

訳「魔法は解かれた トラックが横切る サギが飛び立つ」

au bord du canal
prend son vol héron cendré
nos reflets dans l’eau

訳「水路の縁から アオサギが飛ぶ 私たちの姿が水に映っている」

toujours de la pluie
l’eau s’attarde dans le pré
envol de hérons

訳「相変わらず雨 野原に水が残る アオサギが飛び立つ」

以上3句は「Kirikino ilargian」というサイトからです。この作者、飛び立つアオサギにずいぶんインスピレーションを掻き立てられる人ですね。

適当に探しただけなので、まじめに探せばもっとあるはずです。もしかしたら名句も隠れているかもしれません。

ところで、Haikuに季語はあるのかなと一瞬、疑問に思ったのですが、よく考えてみると愚問でした。モノや事象をひとつの季節に対応させるというのは、同じ地域、同じ文化的背景を持っていないと無理なんですね。そもそも季節が無い国だってあるのですから。

コロニーを2ヶ所追加

今回は北海道のローカルな話題です。
北海道に新たに2ヶ所コロニーが加わりました。と言っても、私が知らなかっただけなのですが…。

ひとつ目は新十津川のコロニーで、場所は留久貯水池のほとり、新十津川の町から徳富川を十数キロ上流へ遡ったところにあります。ここでの営巣の様子は、連絡を下さった方のブログ「雅やんの想い」に紹介されています。新十津川辺りを通ると水田でよくアオサギを見かけていましたが、こんなところにコロニーがあったのですね。ただ、新十津川周辺には砂川や江部乙などそう遠くない場所に別のコロニーがありますから、新十津川の水田にいるのが必ずしも今回のコロニーのサギというわけではないと思います。たぶん、これら3コロニーの餌場はかなり重複しているのでしょう。コロニーと餌場の位置関係も調べてみると面白そうです。私は現地を見ていないので正確な場所は分かりませんが、コロニーはおおよそ次の位置にあるようです。
新十津川コロニーの位置

もうひとつは士別市にあるコロニー。こちらは冬に友人がそれらしい巣を見たということで確かめてきました。最初、言われた場所はしんと静まっており、友人の見間違いだったかなと帰りかけたのですが、どうも仄かにアオサギのフンの匂いがするような気がして留まっていると、そのうち聞きなれた声が…。ちゃんと営巣していました。場所は士別市の市街地を東に少し外れたところ、道路脇の斜面にある林です(写真)。
士別コロニーの位置
林の中なので何巣ぐらいあるのか検討がつきませんが、ヒナの声などから判断してかなりあてずっぽうですが4、50巣というところでしょうか。ここは葉っぱが落ちた後に正確な巣数を数えることができればまたご報告します。

ところで、このコロニーで驚いたのは、これが最近できたものではないということ。近くに住んでいる農家の老夫婦にお話を聞いたところ、ここに移り住んだ50年ほど前にはすでにアオサギはいたということです。当時からここで営巣していたかどうかは分からないということでしたが、その当時、この辺りで他のコロニーは知られていないことから、たとえこの場所でなくとも少なくとも同地域で営巣していたのは確かだと思われます。

50年も前からということになると、このコロニーは天塩川沿いに点在するコロニー群の母体になっていたはず。そうなると、サロベツのコロニーを核として天塩川を遡るように分布が広がったとする従来の見方はできなくなります。どうも道北地方のアオサギの歴史は大幅に再検討する必要がありそうですね。道内のコロニー、とくに地域個体群の核となるような重要なコロニーは全て把握しているつもりでしたが、こんな重要なコロニーを見過ごしていたとは迂闊でした。さすがに北海道は広いです。

ここ数年はコロニーの現地調査や情報収集を精力的に行えていないため、当サイトに載せているコロニーの個別情報の中には現状を反映していない場合も少なからずあるかと思います。そんなわけですので、もし北海道のコロニーの一覧表に載っていないコロニーや最近消滅したコロニーをご存知の方がおられれば御一報いただけると大変有り難いです。どうかよろしくお願いします。

日光浴

以前、ここの掲示板でアオサギの日光浴スタイルが話題になったことがありました。そのスタイルは翼の持ち上げ具合により3種類に区分されるそうです。写真はその3種類のうち翼を最も大きく広げたバージョン。ちょうど、ウが羽を乾かすときの格好に似ていますね。アオサギの日光浴スタイルと言えば、翼を三角に畳んで正面に向けるスタイルが一般的で、写真のようなスタイルを見かけることは少ないかもしれません。

それにしても、見る角度というのもあるのでしょうけど、アオサギというのは実に様々な格好ができるものなのだなと感心させられます。長い首と脚に大きな翼、それに加えて、立てたり膨らませたりできる飾羽まで持つ彼らの表現力は実に多彩です。可動部分が多いというのはアオサギのもつ大きな特徴のひとつと言えるのかも知れませんね。

ところで話は変わりますが、今月の13日、このサイトもいつの間にか9周年を迎えていたようです。なんだかんだ言いながらも10年目に突入です。人間の世界なら十年一昔と言うところでしょうけど、アオサギの十年はどのくらいの時間感覚なんでしょう。ここを開設した頃に生まれたヒナはもうけっこうな年のはずですが…。

アオサギなどという一般には関心の薄い鳥が対象なのにもかかわらず、これまで数多くの方に当サイト訪れていただき本当に感謝しています。今後ともどうぞよろしくお願いします。

第3回アオサギ観察会

アオサギの子育てシーズンもそろそろ終盤に近付いてきました。コロニーでは羽の生え揃ったヒナたちが羽ばたきの練習に余念がありません。

さて、明後日の金曜に札幌と江別で第3回目のアオサギ観察会が行われます。下に北海道アオサギ研究会のHPにある案内を転載しておきます。

「アオサギ観察会」のご案内

北海道アオサギ研究会では、6月18日(金)、平岡と江別の両コロニーで今シーズン第3回目の「アオサギ観察会」を開催いたします。巣立ち間近となったヒナたちの様子を見に来てみませんか?

観察会の時間と場所は次のとおりです。
9:30~10:30 平岡コロニー(札幌市清田区平岡) 集合場所:平岡高校玄関前
11:15~12:00 江別コロニー(江別市工栄町) 集合場所:江別市環境事務所駐車場

参加はどちらか片方のみでも構いません。
平岡のほうは参加人数にとくに制限を設けませんので、参加される方は平岡高校玄関前に直接お越しください。江別のほうは観察場所とコロニーの距離が近いことから参加者多数の場合は人数を制限することがあります。江別のみに参加ご希望の方は松長までメールか電話(090-6445-2220)でご連絡ください。

なお、今回の観察会は「平岡どんぐりの森」との共催で行います。「平岡どんぐりの森」は、2000年以降、毎年、平岡コロニーで観察会を行うなど、その活動は平岡のアオサギ営巣地の保全に大きく貢献しています。

[注意]平岡コロニーは約400メートル離れた平岡高校屋上からの観察となりますので、間近にアオサギが見られるわけではありません。平岡へ参加される方はこの点をあらかじめご了承ください。

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