アオサギを議論するページ

オオアオサギライブ中継雑感

数ヶ月前にここでもご紹介したオオアオサギの子育てライブ中継。しばらく前にヒナたちが皆巣立ちし、無事に今シーズンの繁殖活動を終えたようです。シーズンを通して24時間の連続撮影でしたから、ヒナたちの成長記録とか親鳥の給餌頻度とか、整理すればとても貴重なデータになるでしょうね。アオサギでもこうした試みに是非トライしてみたいものです。

ところで、この中継を見ながらいつも気になっていたのは、このオオアオサギ一家があまりにも恵まれすぎていること。なにしろ、彼らの巣は広い池の畔にあって、この池で餌がすべて間に合ってしまうのです。子育て最大の試練である餌不足に悩まされるということがほとんどありません。その証拠に5卵産んで5羽とも立派に育ててしまいました。巣立ちは2羽か3羽が普通のオオアオサギですから、このことだけ見ても彼らがいかに恵まれた環境で子育てしていたかが分かります。しかも、このペアは単独営巣で周りに他のサギがいません。餌場はほぼ彼らだけのプライベートエリア。コロニーで営巣していたら起こりうる様々なトラブルとも完全に無縁です。

つまり、この家族はかなり特殊だということなんですね。子育て中の目立ったトラブルといえば、抱卵中にアメリカワシミミズクに襲撃されたことぐらい。じつはアライグマが巣に登ってきたこともありましたが、これは巣立ち後のことで事無きを得ています。それ以外は万事恙なく子育てを終えたという感じです。これを見てオオアオサギやアオサギの子育てというのはこんなものなんだと思われたら、もっと劣悪な環境で必死になって子育てしているオオアオサギやアオサギたちが浮かばれません。

もしまた同じような試みが企てられることがあれば、その時は今回のようなセレブな家族ではなく、もっと庶民的な家族に焦点を当ててほしいなと、ヒナたちが巣立って空っぽになった巣の映像を眺めながら思ったのでした。

子育て実況中継

今このアオサギが有名、という話は聞いたことありませんが、オオアオサギなら今もっとも注目されているのはこの巣のペアのはずです。ニューヨークからオオアオサギの子育ての様子がネットでライブ中継されています。これはコーネル大学の鳥類学研究室が行っているもので、シーズンを通して現在の様子がどこからでもネットで見られます。こういうプロジェクトはいいですね。昼間の映像はもちろん鮮明、夜間でも画像は粗いながらかなりくっきり見ることができます。ちなみにニューヨークと日本の時差は13時間です。

このオオアオサギ、今は抱卵中で3つの卵を抱いています。3月28日、30日、4月1日とマニュアルどおりに1日おきに産んでますから、4卵目を産むとすれば4月3日でしょうか。サイトに書かれた情報によれば、3日の午後6時(日本だと4日の朝7時)頃が予定時間のようです。

これからしばらくはシーズン中もっとも静かな時で、ヒナが生まれるまではとくに目立ったイベントは起きないと思います。そして、順調にいけばヒナが生まれはじめるのはおそらく23、4日前後。そうなれば目が離せなくなりますよ。次の瞬間に何かが起こるのではと期待しつつ、いつまででも見てしまいますから。けっこう中毒性がありますのでご注意を。

ついでに、サギ類ではないですが、同じようにハクトウワシのネット中継(夜間は白黒映像)もあります。こちらは去年からやっているもので、昨年はものすごい反響がありました。今はすでに3羽のヒナが生まれているせいか、今年も数万人単位の人たちが常時この映像を見ています。それに比べれば、オオアオサギのほうはまだ1500人がいいところ。これがヒナ誕生が近づくと、ツイッターなどで情報が拡がって一挙に視聴者数が増えるんでしょうね。今年はオオアオサギファンになる人が増えそうです。

神々の王

《注意》この記事はエイプリルフール用に書いた完全な作り話です。4月1日に最後まで読まれた皆さん、寛大な心で嘘にお付き合いいただきありがとうございました。

あっという間にもう四月。この春は本州方面の天候がぱっとしなかったせいか、アオサギの渡りもだいぶん遅れているようですね。それでももう四月ですから、まだのんびり構えているサギたちもそろそろ本気になってくる頃でしょう。

さて、話変わって、今回は久々に古代エジプトのべヌウについて書いてみたいと思います。ベヌウは当サイトでも何度も取り上げたことがありますが、アオサギがモチーフになった古代エジプトの聖鳥です。左の写真の赤枠で囲んだ部分が、ヒエログリフで書かれたベヌウという文字。そして、枠の中の右端に描かれた、膝を立てて座っている人の絵によって、ベヌウがただの鳥でなく神であることが示されています。

ところで、この写真で紹介した文章は『死者の書』にあるものですが、大英博物館のエジプト学者であるヴォリス・バッジョが英訳したものを、拙いながら和訳してみました。だいたい以下のようなことが書かれています。

「我は原初の丘より飛びいでしものなり。我はケペラのごとく来たれり。我は植物の如く芽を吹きたり。我は亀の如く甲羅の中に隠れたり。我の名はベヌウ。全ての神々の王なり。」

どうでしょう。ベヌウというのはじつはただの鳥でないどころか、ただの神ですらなく、神々の王、最高神だったのですね。エジプトで有名な神といえば、ラーとかオシリスとかがまず思いつきますけど、そうした神々が擡頭してくる以前はベヌウこそが神々の王だったのです。それもそのはずで、エジプト中王国の初期の頃は、ベヌウはもとよりアオサギが最高度に崇拝されていたことが、死者の書だけでなく様々な文書によって明らかにされています。サギの一声で、人々はおろか、神々までもが皆ひれ伏していたのです。

たとえば、紀元前5世紀にギリシャ、ケファロニア島のアッゲロスが書いたと言われているエジプトの旅行記。その本に、彼がヘリオポリスの神官から聞いた話として次のような文が収められています。

「千五百年前(訳注:今から4000年前)頃までは、人々に最も崇められていた動物はアオサギで、コロニーの近くには必ず立派な祭壇が設けられていたという。(中略)そして、ひとたびアオサギのコロニーが放棄されると、人々はアオサギのためにペルセアの木を組み合わせて壮大なピラミッドをつくったという。」(小松修著『古代エジプト人の動物観』より)

いま考えればとんでもなく滑稽に思えるかもしれませんが、当時の人々にとってはアオサギは自分たちよりはるかに多くの能力をもち、畏敬するのが当たり前の存在だったのでしょう。人間など飛ぶ能力さえ無いのですからね。そんな謙虚だった人間がいつのまにかどうでもいいような仮初めの技術やくだらない思想を身につけ、自分たちだけが他の動物たちとは違う高級な次元にでも住んでいるかのように思い上がってしまった、そのなれの果てが現在の私たちなわけですね。

4000年前に木でつくられたピラミッドは、残念ながら現在ではそのかけらさえ残っていません。乾燥したエジプトの気候とはいえ、材質が木では4000年の歳月はさすがに長すぎました。ただ幸いなことに、カルナック神殿に残された壁画から、私たちはその壮麗な建築の一端を伺い知ることができます。大英博物館のサイトに写真があるので紹介しておきますね。ピラミッドの先端にとまっているのは、もちろんアオサギです。 ⇒ アオサギピラミッドの写真

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

お正月ですから、肩の凝らない楽しい話題をと思い、人馴れアオサギの動向をネットで調べてみました。そもそも、いつ頃からこんな話が出てきたのでしょうか。手始めに当サイトの『人馴れするアオサギ』のページを見てみると、もう8年近く前から話題になっています。2004年2月11日、TNさんに投稿していただいた記事が最初で、大阪府茨木市の安威川で撮られたという写真がリンクされています。その時の写真がこちら
全てはこの写真から始まったと思えるほどインパクトのある写真でした。(写真の掲載されている掲示板(ログ)はこちらです。)

このていどで収まればいいのですが、そのうちアオサギのほうもずうずうしくなってきます。こちらのビデオはオランダのアムステルダムで撮られたもので、釣り人のバケツから堂々と魚を獲っています。音もなくやってきて一瞬で仕事をし、証拠を隠滅するのにもものの数秒とかかりません。釣りされる方、バケツは目の届くところに置きましょうね。

ところで、ヨーロッパのほうではどうも日本より人馴れの度合いが進行しているようで、釣り場界隈だけでなく町の中にも当たり前のようにいるようです。その傾向がもっとも顕著なのがオランダで、ネットを探せばこのような写真がいくつも見つかります。どうしても高いところにとまりたがるようですね。車でなく自転車の上でも構いません。人が近くにいようと全然平気です。

アオサギ密度の高いオランダだけが特別なのかなと思っていると、そういうわけではないようで、どうもあの辺り一帯はこれが普通なのですね。たとえば、ロンドンのリージェントパーク。このくらいなら、人とアオサギの距離がまだほどよく残っていますが、これはどうしたことでしょう。見ればカナダガンやオオバンまでいます。まさにハト化状態です。

ただ、海外のこととばかり思ってもいられません。冒頭の大阪のような状況がいったん現れたら、事態が次のステージに進むのは時間の問題です。こちらのビデオのおばちゃん、完全に餌付けしてます。関西のほうでは、人とアオサギの関係はもはやヨーロッパ並なのかもしれませんね。

最後に、サギと釣り人の関係に戻って、ちょっと愉快なビデオを紹介して終わりにします。フロリダで撮られたものなのでアオサギでなくオオアオサギのほうです。釣り人の挙動にいちいち期待したり落胆したりするオオアオサギ。ちょっと気の毒ですけど、自分の餌は自分で見つけましょうということですね。

では、みなさん、本年もよろしくお願いします。

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